スムーズに振り子運動するための「間」を作る
パットでもっとも重要である距離感は、リズムとインパクトの強さが一定であることが大切ですが、同時にトップでの「間」もポイントになります。
振り子が逆方向に動きを転換するときは、一瞬動きが停止します。これが、「間」です。「間」というのは、実際には0.2~0.3秒程度が適正ですが、重力下では運動の方向が切り替わるときに、慣性力と摩擦係数などによる「機械的時定数=タイムラグ(遅れ)」が生じます。
「間」を作って、重力を感じながら切り返しでヘッドを始動させれば、慣性力がプラスに働き、スムーズにヘッドが振り子運動をしてくれます。当然、ヘッド軌道だけでなく、リズムやインパクトも安定します。
しかし、「間」を無視して自分の力で振り下ろすと、インパクトエネルギーが毎回変化してしまいます。慣性力が運動方向と逆の方向に働き、軌道やリズムを悪化させ、インパクト力も不安定になってしまうのです。
一般的に、ストロークは歩くリズムで行うことが理想ですが、そのリズムは人それぞれ。私が考える歩くリズムとは、1歩を約0.7秒程度と想定したときに、テークバックで0.7秒、切り返しで0.3秒の「間」を置いて、0.7秒後にテークバックの倍の幅のフォローを取ってヘッドが止まる、というストロークをするために、次の三つを心がけてください。
一つ目は、アドレスしてクラブフェースの向きを合わせたら少しヘッドを浮かせることです。
二つ目は、とにかくゆっくりテークバックし、所定の幅で正確に動かして、いったん完全にヘッドを停止させること。これにより、ヘッドの重さを感じるので「間」ができます。
三つ目は、停止状態から改めてボールの5センチ先の目標方向をよく見て、そこにヘッドを振り子で加速していき、インパクト後に高くフォローを取ること。
オーバーしたりショートしたりを繰り返す人は、「間」が抜けている可能性があります。自分のストロークは一定であるか、リズム良くストロークできているかを一度チェックしてみてください。
※「入っちゃう! パットの法則」(ゴルフダイジェスト新書)より