下世話だが今回はお金の話。「プロは賞金を稼ぐためにゴルフをしている。お金の話をしないのはかえって不自然」というレジェンド、トム・ワトソンの言葉に背中を押され、語ろう、プロゴルファーの稼ぎについて。

ゴルファーは生涯にいくらツアーで稼げるのか?

早くも2017~18シーズンが開幕したPGAツアー。今シーズンはアーニー・エルスやレティーフ・グーセン、チェ・キョンジュらが生涯獲得賞金ランキングトップ50の資格で1年限定シードの権利を行使することになった。

全米オープン2勝のグーセンの生涯獲得賞金は現在のレートで日本円に換算すると約34億5000万円でランキング26位。来年の2月で満50歳を迎えるため、シニア入り前最後の1年をレギュラーツアーで戦いたいと特別シードを申請している。

エルスの場合はシニア入りまで2年あるが今回生涯獲得賞金ランキングトップ25の資格で1年シードを行使したあと、トップ5の資格でもう1年シードを延長できるため、途切れなくシニアツアーに移行できそうだ。

画像: 生涯獲得賞金ランクトップ50の資格で1年限定シードを得ているアーニー・エルス(写真:2017年全米プロゴルフ選手権)

生涯獲得賞金ランクトップ50の資格で1年限定シードを得ているアーニー・エルス(写真:2017年全米プロゴルフ選手権)

そのエルスが稼ぎ出したのは約55億円。1位はもちろんツアー通算89勝のタイガー・ウッズで賞金だけで123億円超を稼ぎ出している。しかしこれはあくまで賞金のみ。スポンサー収入などを総合すると少なくても2000年頃からの15年間は年間100億円前後の収入を得て、世界のスポーツ選手の稼ぎ頭の地位をリードしてきた。

2位以下にはフィル・ミケルソン(約90億円)、ビジェイ・シン(約78億円)、ジム・フューリック(約75億円)が続きエルスが5位。ちなみにチェ・キョンジュはおよそ35億円を稼ぎ25位にランクインしている。

90年代の終わりタイガーが登場したことでPGAツアーの放送権料が高騰。取り巻く環境は一気にバブル化しすべてのプロゴルファーが恩恵を受けた。「タイガーはライバルだけどいい奴だし彼のお陰で我々も潤った。その影響は業界全体に波及してきた。感謝しなくちゃね」とエルスは振り返っている。

では日本はどうなのか? ナンバー1はもちろんジャンボこと尾崎将司でおよそ26億9000万円。2位が片山慎吾で21億1570万円。以下中嶋常幸、谷口徹、尾崎直道とキャリアの長い選手が名を連ね、現役バリバリでは池田勇太が10億円超を稼ぎ11位。10位の伊澤利光に約5万円差と迫りトップ10入り目前だ。

では松山英樹は? 約21億円で現在PGAツアーの生涯獲得賞金ランキング66位。今後どこまで順位を上げるか楽しみ。トップ50入りは時間の問題か。

画像: 松山英樹は生涯でどれほど稼ぐのだろうか?(写真:2017年WGCブリヂストンインビテーショナル)

松山英樹は生涯でどれほど稼ぐのだろうか?(写真:2017年WGCブリヂストンインビテーショナル)

米男子ツアーはさらに年金制度が充実しており、活躍した年数や成績に応じて引退後に莫大な年金が支払われる。レギュラーツアーのシード5年で受給資格が与えられ、たとえば8年間アメリカで戦い通算3勝を挙げている丸山茂樹は、60歳以降合計で20億程度の年金を受け取る資格があるのだとか。

なんとも異次元の話ではあるが、今年で本格デビュー5年目の松山は今シーズンをクリアすれば年金受給対象者になる。すでに丸山を上回るツアー5勝を挙げており25歳にして将来は安泰? 子供をプロゴルファーにしたがる親御さんの気持ちがわからないではない。

写真/姉崎正

※数字は2017年10月13日現在

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