スムーズだがスピードはまだまだ
10月16日に公開したタイガー・ウッズのSNSを見てみよう。「Making progress(一歩前進)」というコメントとともに、ターゲット後方からのスウィング動画を公開している。手に持っているのは、おそらくテーラーメイドのM2と思われるドライバーだ。
タイガー・ウッズのドライバーショットと言えば、思い浮かべるのは圧倒的なスウィングスピードと、野獣のような躍動感だが、動画のスウィングはかなり抑えめ。やはりまだまだピークには遠いのか? プロゴルファー・中村修に、動画を分析してもらおう。
「もちろんまだ本当の意味でのフルショットではないと思います。以前のタイガーはインパクトにかけて前傾角が深くなり、フォローでもその角度をキープする柔軟性がありましたが、現時点では背中に負担をかけないように少し早めに起き上がっていますから。
もちろん、振ろうと思えば以前のように振れるのだとは思いますが、タイガーといえども、また痛みが襲うのではないかという恐怖心があるのではないでしょうか。故障からの復帰というのは、体の回復だけではなく恐怖心を克服することも非常に大きいものですから」(中村)
たしかに、今回の動画からはかつてのボールをねじ伏せるような迫力は感じられない。タイガーは今後、体の負担がかからない方向にプレースタイルを変えていくのだろうか?
「十分考えられます。仮に以前のような飛距離が望めないとなれば、正確性やショートゲームで勝負する必要がありますから。全盛期に正確性を武器にタイガーと鎬を削ったジム・フューリックや、パットの名手として世界ランク2位にまでなったスティーブ・ストリッカーのようなスタイルで復活する。そんなシナリオもあり得ると思います」(中村)
プレースタイルも変わるとなれば、もはやタイガー・ウッズではなくなるような寂しさもある。しかし、それでもメジャーの舞台で優勝争いする姿を、必ずまた見せてくれるはず、だってタイガー・ウッズなのだから。最年長メジャー優勝記録はジャック・ニクラスが持つ46歳。タイガーはまだ41歳だ。
タイガーの復帰を、心待ちにしたい。