すべてのホールをパーオンして2パットであがれば、スコアの半分はパット数。そのパットを科学的に研究している星谷孝幸先生は「法則さえ知っていれば、パットは簡単に入っちゃうんです」と話し、その極意は「2支点振り子ストローク」にあるという。スマッシュヒット中の新書『入っちゃう! パットの法則』から、そのエッセンスを紹介!

スピードで距離感を調整する

「方向性が悪い」「ラインが読めていない」「距離感がつかめていない」という三つが、パットが入らない主な要因です。中でも特に大きく結果に影響するのが、距離感がつかめていないことです。方向性が左右に2メートルも3メートルもずれることはそうありませんが、距離感が2~3メートル狂うことはよくあります。

距離感をつかむためにまず大切なのは、距離の基準を作ることです。ラウンドでは、2~5メートルぐらいの距離のパットを打つことが多いかと思いますが、私は、その中心である3メートルの距離を20センチのテークバック幅で転がす練習を繰り返すことを勧めています(慣れてきたら15センチで2メートル、25センチで4メートルという練習も行うと良い)。

ただし、20センチテークバックしても、ストロークの速さによって転がる距離は異なります。ですから、20センチのテークバックに対して3メートル転がるストロークの速さ、すなわち「リズムとテンポ」を自分で見つけ、その感覚を体に覚えこませてください。

ただし、ゴルフ場のグリーンでは、傾斜があり、季節や天候によってコンディションが異なります。20センチのテークバックで一定のリズムでストロークしても、3メートルをショートしたり、オーバーしてしまったりします。

そうなると、多くの方は、振り幅を変えて距離を合わせようとしますが、実はこれはお勧めできません。なぜなら、人間は素晴らしい勘を持っているので、いくら振り幅を少し大きめにしようと決めても、「ちょっと大きいかな」と思うと緩めてしまい、とんでもなくショートするといった事態になりかねないからです。

画像: 距離感を安定させるためには振り幅ではなく、テンポを変えるほうがいいと星谷先生

距離感を安定させるためには振り幅ではなく、テンポを変えるほうがいいと星谷先生

距離の調節は振り幅ではなく、「スピード感」で行うべきです。振り幅は、スピード感を出すために自然に決まるものでしかないのです。

テークバック幅は変えず、ショートしてしまったらストロークを速く(アップテンポに)、オーバーしてしまったら遅く(スローテンポに)したほうが、より上手にいくことが実感できると思います。

スピード感を出すためには、握る力が大切です。距離感は利き手に主導権がありますから、その手を積極的に生かすべきです。

長い距離を打ちたいときには、速く動かす必要があるため必然的に右手に力を入れて振ります。その際、親指と人差し指で強くつまむようにしてフェース面のブレを防ぐようにしてください。

対して、短い距離を打ちたいときは、力を緩めてスピードを出さないようにします。左手は舵取りの役割ですから、自然な力で握るだけ。右手の感覚が鈍ってしまうので、左手の力加減に意識を向けないようにします。

野球のキャッチボールでも、距離に応じて自然に腕を振るスピードを変えますよね。パットでも「この距離なら、このスピード感で」と目安をつかむことが大切。

そのほうが、より簡単で、しかも正確に距離を打ち分けることができるのです。

「入っちゃう! パットの法則」(ゴルフダイジェスト新書)より

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