相変わらず国内女子ツアーの人気は高い。だが、同時にいま二部ツアー=ステップ・アップ・ツアーが活況を呈しているのをご存知だろうか? 中にはレギュラーツアーの賞金シード選手以上に稼いでいる猛者も。同ツアー“沸騰”の理由とは……?

下部ツアーといえどもシード選手並に稼ぐことができる

ステップ・アップ・ツアーは2017年10月20日に最終日を迎えた京都レディースオープンでシーズンが終了。野澤真央が今季2勝目を挙げ幕を閉じた。

賞金ランク1位に輝いたのは水巻善典を師匠と仰ぐ29歳の谷河枝里子。シーズン3勝を挙げ2050万円強を獲得。レギュラーツアーはまだシーズンを終えていないが同ツアーの賞金ランキングに当てはめると木戸愛(約2087万円、ランク47位)の次で賞金シードが与えられるトップ50以内相当。

ちなみに現在50位の酒井美紀は1900万円に届いておらず、昨年の実績からいっても2千万円強ならシード確定レベルだ。比較するのもどうかと思うがシニアツアーの賞金ランクに当てはめると鈴木亨の上で7位に相当する。

ステップ・アップ・ツアーは賞金総額1500万円から3000万円の試合が並ぶが(優勝賞金は270万円から540万円)頑張ればレギュラーツアーのシード選手以上に稼げるということが証明されたことになる。ランク2位の福山恵梨もおよそ2000万円と、レギュラーツアーの賞金シードのボーダーライン以上を稼ぎ出した。

しかも昨年のステップ・アップ・ツアーの賞金ランク1位の獲得賞金額は1117万円強。試合数が3つ増えているとはいえ単純計算で1位の賞金がおよそ2倍に跳ね上がっている。なぜこのような現象が起きたのか? それはLPGA創設50周年を機に変更された制度に理由がある。

画像: ステップ・アップ・ツアーの賞金女王に輝いた谷河枝里子(写真:2014年スタジオアリス女子オープン)

ステップ・アップ・ツアーの賞金女王に輝いた谷河枝里子(写真:2014年スタジオアリス女子オープン)

ツアー出場権を持たない選手の育成、レベルアップを目的に1991年から始まったステップ・アップ・ツアー。当初はわずか2試合の開催だったが徐々に試合数を増やし今年は21試合と6年前(5試合)の4倍強に大幅増。以前は2日間トーナメントが主だったが最近は3日間が主流となった。

2017年度からは賞金ランキング制が導入され、成績に応じたさまざまな資格が与えられることに。さらに世界ランキング(ロレックスランキング)のポイント加算対象ツアーにも昇格した。

そして今年選手たちの目の色を変えさせたのが「賞金ランク1位に来シーズンのシード権を与える」という項目。来季はリランキング制度が導入されるため、フルシードではなくシーズン途中までの出場権となるが、そこで成績を出せばもちろんビッグトーナメントがひしめく後半の出場も可能になる。

そのかわり、これまでステップ・アップで優勝した選手に与えられていた特典=レギュラーツアー4試合の出場権はなくなった。過去、横峯さくらや諸見里しのぶがそのチャンスを生かしレギュラーツアーに昇格したが2人は例外中の例外。大抵はレギュラーツアーの壁に阻まれ一銭も稼げず下部ツアーに逆戻り。以降調子を落とすというパターンが続いてきた。それが今年はステップ・アップの選手が腰を据えて賞金レースに挑み高額獲得者の出没と相成った。

これまでは下部ツアーでありながらレギュラーツアーとのつながりが薄く、せいぜいQT(予選会)2次が免除になったくらい。その先にはサード(3次)ステージ、ファイナルステージが控え、最後はファイナルで上位40名程度に入らないとツアー出場権を得られなかった。

画像: ステップアップツアーの賞金ランク2位でフィニッシュした福山恵梨(写真:2017年ゴルフ5レディス)

ステップアップツアーの賞金ランク2位でフィニッシュした福山恵梨(写真:2017年ゴルフ5レディス)

QTからツアー出場の道は厳しい。一発勝負なだけに経験者は「二度とあの緊張した空気を味わいたくない」と口を揃える。

だが、今年からステップ・アップの賞金ランク2位から5位までは3次免除でファイナルQTへ。6位から10位まではサードQTから。この条件も選手達のモチベーションを上げている。

PGAツアーでは下部ツアーの上位25人に翌年のシード権が与えられる。いずれステップ・アップ・ツアーも上位10名がシード資格を得る、なんて時代がやってくるかもしれない。その前にレギュラーツアーより“稼げる場所”としてステップ・アップ・ツアーがよりクローズアップされるかも!?

写真/大澤進二

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