45.5インチと44.5インチの「赤eggドライバー」
赤エッグのドライバーは45.5インチのレギュラーモデルと、と44.5インチの「インパクトスペック」の長さが異なる2モデルがある。試打を担当したみんなのゴルフダイジェスト編集部員でプロゴルファーの中村修は、この「インパクトスペック」はアマチュアゴルファーへの恩恵が大きいという。
「44.5インチと短尺であることから、飛ばないのでは? と思われるかもしれませんが、ヘッドスピードがあるのに方向性が定まらない人にはすごくマッチすると思います。ヘッドスピード自体は長いほうがアップしますが、それでも曲がってしまえば意味がありませんから」(中村)
ゴルファーの中には、長いクラブは合うタイプ、短いクラブの合うタイプがいるが、シャフトのしなりを感じながらゆったりと振れる人や、そもそも思い切り振れない人以外は、短いことによるミート率アップのほうが飛距離への貢献度は高いと中村は言う。
「45.5インチと44.5インチ、どちらがオススメかと問われれば、44.5インチのほうを押したいですね。つかまりのいいヘッドと、しっかりとしたシャフトの相性もいいですから」
FWとUTは弾いて飛ばす
FWは2番(13度)から11番(27度)までのラインナップ。2・3・5番はチタンのボディとフェース、7・9・11番はマレージングのボディとフェース、ソールはともにタングステン合金のソールとなっている。
「シャローフェースでボールが上げやすく、ラクに飛距離を出せるフェアウェイウッドですね。スプーンやクリークが苦手な人は、球が上げられない、つかまえられないというケースが多いですが、このクラブの場合つかまえにいくと左へのミスになるくらいつかまりがいい。フェースを返す動きを意識しなくても、クラブが勝手につかまえてくれます」
ドライバーにも言えることだが、このクラブの力みは厳禁。自分で飛ばそうとせず、クラブに飛ばしてもらおうくらいの意識が必要とされる。
「一方のユーティリティも、やはり飛びます。ただ、ここはユーティリティというクラブの進化を感じる部分でもありますが、どんどんランが出てどこまでも行ってしまう感じではなく、スピンは少ないものの弾道の高さがあることから、高さでグリーンに止めることができます。ラフからの抜けも良く、実戦向きなユーティリティでした」
ユーティリティは19~24度(4~6H)の3種類。FWの11番は27度なので、ユーティリティのほうが寝ているロフトがあるという特徴的なラインアップ。どれをどう組み合わせるか、考えるのも楽しそう。
180ヤードを8番アイアンで打てていいのか!?
赤エッグのアイアンは2種類。「赤エッグアイアンPC」は7番でロフトが25度、「赤eggアイアンPF」は26度と、どちらも“激飛び系”に分類されるアイアンだ。ちなみにアスリート向けアイアンとして人気のタイトリスト「718AP2」の7番アイアンのロフトは33度。一般的なアイアンの番手間のロフト差は3〜4度だから、約2番手分ロフトが立っている。
なかでも「PC」は限界まで反発を高め、ヘッドスピードの遅いゴルファーが打っても高い球でグリーンを狙える、飛びに最大限特化したモデル。もう片方の「PF」は軟鉄鍛造で打感が軟らかく、PCに比べるとシャープな印象のモデルとなっている。
「『PC』がすごいのは、ロフトが7番で25度と立っているのにボールが上がること。いわば5番の飛距離を7番の高さで出せる言うイメージです。フェアウェイウッド同様、積極的にフェースをターンさせるとつかまり過ぎるほどのつかまりの良さも特徴。飛ぶ、上がる、つかまる、三拍子が揃っています。さすがに見た目もいいとは言いませんが、機能的にはすごいですね」(中村)
「私が気に入ったのは『PF』のほう。しっかり振っても吹き上がることなく、高く大きな弾道で狙った方向に真っすぐ飛ばせました。180ヤードのパー3で、普段なら6番か5番アイアンを選ぶところ、選んだのは8番アイアン。打感もよく、高い弾道でグリーンに落ちてすぐに止まったのは驚きました。8番アイアンのやさしさで180Yを打てるこのアイアン使ってしまうと、自分のアイアンが難しく思えてしまったほど。戻れるか不安です(笑)」
そう中村が語るのもあながち冗談ではないほど、ラウンド試打での結果は抜群に良かった。プロユースを前提としていないクラブながら、プロが打っても恩恵があるというのが面白い。
赤エッグシリーズ通していえるのはそのつかまりの良さ。左へ引っかけるミスが出るタイプの人は、フェースローテーションを抑えインパクトゾーンで真っすぐに動かす意識が必要だという。そういった意味で、もっとも合うのは「飛ばないスライサー」であるのは間違いないが、フッカーがこのクラブを使うことで、フェースの開閉が少ないシンプルなスウィングになることでゴルフもシンプルになると中村は助言する。
この手のクラブには、たとえば「7番アイアンに5番アイアンって書いてあるだけだろう」といった批判がつきものだが、この赤エッグもそうだが、昨今の激飛び系アイアンは、「やさしさと球の高さは7番、飛びは5番」という機能を獲得している。男子ツアーでもフェース長の短い昔ながらのプロモデルの使用者が年々減り、やさしいアイアンを使うプロが増えてきている。
アイアンは飛ばすクラブではないかもしれないが、アイアンが飛んだらゴルフが楽になるのも事実。その意味で、一度は試す価値があるはずだ。