ダンロップフェニックスにディフェンディングチャンピオンとして参戦しているのがブルックス・ケプカだ。昨年の今大会では池田勇太との激闘を制し、全米オープンでは松山英樹と優勝争いを演じてメジャー初優勝。ポーカーフェースで凄いことをやってのけるケプカのルーツに迫る。
ケプカがポーカーフェースになったわけとは?
期待に違わず大会初日首位タイ発進で存在感を示したケプカ。「最終日はヒデキと優勝争いができればいい」というが、直接対決で松山は分が悪い。
2015年のウェイストマネジメントフェニックスオープンで2人は最終日同組で回ったがケプカが1打松山を抑えツアー初優勝を飾っている。
このときケプカは「ヒデキのことはあまりよく知らなかったけれど、信じられないくらいの才能の持ち主だ」とコメント。全米オープンは最終日同組ではなかったが、松山の追撃を振り切りメジャー初優勝を飾っている。
ところでケプカは勝っても表情があまり変わらない。なぜか?
ルーツは幼少時代にさかのぼる。ゴルフの手ほどきをしてくれた父ボブさんは独学で腕を磨きスクラッチプレーヤーになった人物。小学生の頃から高校生相手に互角に渡り合うほど敵なしだったケプカは父を負かそうと必死だった。
ある日チャンスが訪れる。父とのラウンドで1打リード。ケプカは得意満面の表情でカートに乗り込もうとした。
「見え見えだな」
父が切り捨てた。
「お前はいまオレに勝ったと思っただろう? その誇らしげな顔! だがな、勝負はまだ終わっていないぞ。2度と相手に自分の感情を悟らせるな」
案の定ケプカは父に負けた。ゴルフでは勝ったと思った瞬間、運やツキが逃げていくことがある。このエピソード以来、ケプカは一喜一憂するのをやめポーカーフェースを貫いてきた。
全米オープンで勝ったとき本人は「大喜びした」というが、傍目には普段と変わらぬ表情に見えた。
感情を表に出さない選手はやりにくい。果たして今回もケプカは涼しい顔でトロフィーをさらっていくのだろうか?
写真/岡沢裕行