松山英樹は最後まで逆転をあきらめなかった
大会記録に並ぶ最終日7打差逆転Vは幻に終わった。
松山英樹は5つスコアを伸ばしたが、最後はマクグリービーに4打届かず2位で終戦。18番で相手のウイニングパットを見守ったあとは、勝者の背中を2度たたいて祝福の気持ちを伝えた。
ホールアウト後は悔しさを胸にしまって冷静に試合を振り返った。決勝ラウンド2日間とも同組だったマクグリービーは4日間72ホールでたたいたボギーは第1日の17番だけという内容に「4日間1ボギーで回られたら厳しいですよね」と独特の言い回しで相手のプレーをたたえた。
5番で右奥から3メートルを入れてこの日初バーディ。7番パー5では2オン2パットのバーディ、続く9番でも5メートルのバーディパットを沈めて首位に5打差でハーフターンしたが、10番でティーショットを曲げてボギーとし、追いかける勢いにブレーキがかかった。
「7つ差があったので、最初からプレッシャーをかけていかなきゃいけないところで、なかなか思うようにスコアを伸ばせなかったですね。9番を終わって5打差でターンできたので、10番で相手が曲げたところで『ここだ』と思ったところで自分が曲げてしまったので『ああ、もう無理だな』と」
それでも最後まであきらめないプレーを見せた。今大会が今季日本ツアー初参戦。大勢のギャラリーの声援にこたえるためにも、ホストプロの責任を果たすためにも、集中力を切らすことはなかった。
11番でバーディを奪ってバウンスバックを決めると、13番で奥バンカーから1.5メートルに寄せてスコアを伸ばした。17番パー3も第1打をピン右4メートルに乗せてバーディを奪って4打差まで詰め寄り、マクグリービーにプレッシャーをかけ続けたが、最後まで相手の背中は遠かった。
「(パットは)特に10、12、14とか入れられたら、もうちょっとはプレッシャーをかけられたかなと思いますけど、全部外してしまったので、戦い、終わっちゃったなという感じでしたね」
今秋からショットについて新たな取り組みを行っている。今大会の2位にもある程度の手ごたえを得た様子で「いい部分もありましたし、もちろん悪い部分のほうが多かったんですけど、こうして上位で戦えたというのはプラス。悪い状態ながらもバーディを獲れていましたし、そこはよかったと思います」と自己評価した。
今大会は自身の今季最終戦。来季は1月のザ・セントリー(1月2~5日、ハワイ州)からスタートする。
「(来季へ向けて)まだ1カ月ちょっとありますし、年明けに向けてどう調整していくか考えたい」
国内今季最初で最後の試合を終え、早くも来季に照準を絞った。
「来年もここに戻ってきてプレーするのが楽しみ」(マクグリービー)
一方、大会初優勝を果たしたマクグリービーは「日本でこのように優勝できてとても嬉しい。日本に来た目的のひとつが優勝だった」と喜びに浸った。
メジャーチャンピオンで世界ランク7位の松山と同組で戦い、4打差をつけて優勝したことについては「(松山との同組ラウンドは)本当に夢が叶った瞬間だなと思いました。松山選手は世界のベストと言っていい選手ですし、集中力や自分のゴルフに対する取り組みとか学ぶところがあったと感じました。本当に楽しい週末になりました」と感慨に浸った。
タイガー・ウッズ、ブルックス・ケプカらそうそうたる名前が並ぶ今大会歴代優勝者の仲間入りをしたことには「すごい人たちがいっぱい来ていたという印象のなか、自分がそこで優勝できたのは嬉しいですし、来年もここに戻ってきてプレーするのが楽しみになりました」。優勝の興奮が冷めない中で早くも連覇を誓った。