2017年の賞金女王争いもいよいよ大詰め。女子ツアー最終戦「LPGAツアーチャンピオンシップ リコーカップ」が現在開催中だ。熱い戦いを繰り広げるランキング1位の鈴木愛、2位のキム・ハヌルは、実はスウィングは対照的。女王の座を競う2人のスウィングを、ゴルフスイングコンサルタントの吉田洋一郎が解説する。

パットの愛。安定感のハヌル。両者の共通点は?

2人に共通するのは精度の高いショットとパッティングで、スコアメークをするという点です。ともに平均飛距離が30位台ながら、平均パット数とパーオン率ではどちらもトップ10内につけています。
その中でもパッティングの精度は鈴木、ショット力はハヌルという感じ。

鈴木は2年連続で平均パット数1位につけています。体幹でしっかりと軸を維持しており、ストローク中にゆるむことがないため、プレッシャーのかかる場面で強気のタッチで攻めるシーンが何度も見られます。パッティングというスコアメークの軸があるので、ショットやアプローチでも積極的に攻めていくことができます。一方のハヌルは、ショット全般が非常に安定しています。穴がないため大崩れしにくく予選落ちも3回しかありません。

そんな2人に共通するのは、下半身からスウィングを始動しているという点です。下半身から始動をすることで、適切な順序で運動連鎖(キネティックチェーン)が起こります。下半身(始動)→上半身(トップ)→下半身(切り返し)という順番です。切り返しが必ず下半身から行われるので、再現性が高く、手元に力が入ることで起こる引っかけなどのミスが少なくなります。

画像: キム・ハヌル(写真左)と鈴木愛(写真右)ともに、下半身から始動するから、下半身から切り返せる

キム・ハヌル(写真左)と鈴木愛(写真右)ともに、下半身から始動するから、下半身から切り返せる

アマチュアの場合、上半身(特に手元)から始動してしまう人が多くいます。すると次に動くのは下半身で、切り替えしは手元から動くことになりカットスライスの要因になります。

インパクトを作る愛、スウィングの途中にボールがあるハヌル

一方でクラブのポジショニングや切り返しの下半身の使い方は大きく異なります。鈴木はテークバックの始動をインサイドに引き、トップに向けて腕を持ち上げ、そこからループさせるようにダウンスウィングする動きが特徴的です。クラブの細かい位置より、力の出し方に重きを置いたスウィングという印象を受けます。

テークバックでは右に軸が移動しているように見えますが、実際には腰が横に回転し、ダウンでも右足で蹴るような動きによってインパクトに向けて回転力を発生させています。体の回転と手や腕をミックスさせているスウィングではありますが、インパクトの再現性は非常に高くクラブを操作するセンスはピカイチです。インパクトの感覚と実際の動きが合致している調子のよいときには、ビッグスコアにつながりやすいプレースタイルです。

ハヌルの場合はこれとは真逆で、体と腕の同調性が非常に高いスウィングをしています。鈴木のようにインパクトをしっかりと作っていくタイプではなく、スウィング軌道の中にボールがあるという感じでしょうか。ボールを一生懸命打ち込みに行くのではなく、振ったらポーンと軽く飛んでいくように見えます。ドライバーで力が入る事でボールを曲げているアマチュアには、ぜひお手本してほしいスウィングです。

画像: 右足を踏み込んで地面反力を使うキム・ハヌル(写真左)と右足を蹴るように使う鈴木愛(右)

右足を踏み込んで地面反力を使うキム・ハヌル(写真左)と右足を蹴るように使う鈴木愛(右)

韓国系の選手はどっしりと下半身を維持し、体の回転を主体とした安定感のあるスウィングが特徴ですが、ハヌルの場合はダウンスウィングで地面を蹴るように下半身を動かすことで体の回転を上げています。「地面反力」を使ったスウィングと言えますね。

タイプの違う2人の選手。鈴木が爆発力を発揮しビッグスコアをたたき出すのか、ハヌルが正確性の高いショットで巻き返すのか、最後まで目が離せません。

写真/岡沢裕行、大澤進二

画像: 吉田洋一郎(よしだ・ひろいちろう)・・・世界のゴルフスウィング理論に精通するゴルフスウィングコンサルタント。北海道苫小牧市出身。世界4大メジャータイトル21勝に貢献したデビッド・レッドベター氏より指導法を直接学ぶ。欧米の一流ゴルフインストラクター80人に直接指導を受け、カンファレンスを含めると200人のインストラクターの指導方法を学ぶ。海外メジャーを含めた米PGAツアーへ数多く足を運び、試合での実戦的なティーチングにも精通する。ツアープロ、シングルプレーヤーなどを中心にスウィングコンサルティングを行っている。オフィシャルブログ http://hiroichiro.com/blog/

吉田洋一郎(よしだ・ひろいちろう)・・・世界のゴルフスウィング理論に精通するゴルフスウィングコンサルタント。北海道苫小牧市出身。世界4大メジャータイトル21勝に貢献したデビッド・レッドベター氏より指導法を直接学ぶ。欧米の一流ゴルフインストラクター80人に直接指導を受け、カンファレンスを含めると200人のインストラクターの指導方法を学ぶ。海外メジャーを含めた米PGAツアーへ数多く足を運び、試合での実戦的なティーチングにも精通する。ツアープロ、シングルプレーヤーなどを中心にスウィングコンサルティングを行っている。オフィシャルブログ http://hiroichiro.com/blog/

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