「この一年間、一番強かったのは小平」(宮本勝昌)
最終戦である「日本シリーズ」には独特の雰囲気があります。前週のカシオワールドオープンには賞金シード争いという側面がありますが、日本シリーズに出られるのは今季優勝したり賞金ランク上位に入ったりと活躍した30名のみ。そのため、どこかリラックスした空気感があるのです。
そんな中で、ピリッとした雰囲気を身にまとっているのが、賞金王の可能性のある4人の選手たち。彼らは一様に、練習日とあってリラックスしながらも、どこか緊張感を漂わせているように見えました。
そんな中、小平智、宮里優作、チャン・キム、池田勇太。この中で、誰が賞金王となるのか、何人かに聞いてみました。
「小平。調子が上向いているし、ドライバーもアイアンも、全部が上手い。今年の賞金王は小平でキマリだよ」(プラヤド・マークセン)
「先週も尻上がりに良かったし、ガッツがあるし、小平がなるんちゃいますか」(片岡大育)
「賞金額から考えて、(小平を他選手が)ひっくり返すのは難しいでしょう」(藤本佳則のコーチ、阿河徹)
「他の選手は基本的に“勝つしかない”状況。調子がどうとかではなく、勝たなくてはいけないという状況は難しい。小平が有利ですね」(久保谷健一)
というわけで、同僚のプロたちの予想は“小平有利”一色といった状況。小平選手と宮里選手の獲得賞金額は約1700万円差。キム選手とは約2800万円差。池田選手とは3500万円差ありますから、それも当然といえば当然といえそうです。
「競馬の予想みたいには決められないけど、最有力は小平ですよね。この試合だけでなく、一年間積み上げてきた結果が、この差になっている。(ここまでは)小平が一番強かったわけですから」
と宮本勝昌選手が言うように、小平選手と他の3選手との差は、ここまで25試合の積み重ねてきた差。ゴルフはなにが起こるかわかりませんが、小平選手有利は間違いありません。
その小平選手ですが、練習場ではいい意味でいつも通りの雰囲気でボールを打っていました。気負い込んで球数を打つこともなく、特別スウィングを気にかける様子もありません。平常心で試合に入っていきそうな雰囲気があります。
小平選手をもっとも近い位置から追いかける宮里選手は、囲み取材で「パーオンを確実にさせて、2パットでいきながら、チャンスがあればバーディを奪っていきたい。最終的に、最終日に優勝争いできるところにいたいですね」と語っていました。
追う立場であることを過度に意識して、初日から飛ばしていくのではなく、72ホールの戦いで勝利をつかみたいというのは、宮里選手らしい正しい戦略だと思います。
飛ばし屋のチャン・キム選手は、三井住友VISA太平洋マスターズを腰痛で棄権していますが、まだアイドリング状態という印象を受けました。ただ、彼の場合は50%の力加減で振っても飛距離不足にはなりません。虎視眈々と、アクセルを全開にするタイミングをうかがっているのだと思います。
昨年の賞金王である池田選手は前週優勝争いを演じた時松隆光選手とリラックスした様子で練習ラウンドを行っていました。
宮里選手が悲願の初優勝を遂げたのは、この日本シリーズでした。そして、小平選手と池田選手は2016年のこの試合で2位に入っています。この3人に関しては、コースとの相性もいい。誰が賞金王になるにせよ、最後まで白熱した戦いが見られることは期待して良さそうですね。