冬は芝が枯れる時期。そのため、ちょっと曲げたボールがすぐに林に転がり入ってしまうもの。林に入ったボールは確実にフェアウェイに戻さないと、大叩きにつながってしまう。今回は、そんな林からの脱出はどの番手を使うのが正解なのか、実験でたしかめてみた。

ロフトは少ないほうがいい

実験はアクアラインゴルフクラブにて。ティショットが軽めのチーピンで、左の林にボールが入った状況を想定した。前は開けておらず、横に“チョイ出し”せざるを得ない状況。実験テスターは、みんなのゴルフダイジェスト編集部F(平均スコアが100前後)がアベレージゴルファー代表として務めた。

Fが林からの脱出に多用するという52度のウェッジ、そして8番と6番のアイアンを用意し、それぞれ10球ずつを打って、どれが一番出しやすいかをテストした。ちなみに、ライは土の上で、ややダフリやすそうに感じる状況だ。

まずテストしたのは52度。普段多用するというクラブだが、結果は残念なものだった。

「10球中、脱出に成功したのは3回だけでした……。トップあり、チョロあり、上の木の枝に当たったり、ミスのオンパレード。いかに52度が林からの脱出に向いていないか、痛感しました」(F)

なぜ52度のウェッジを用いたかといえば、「短い距離を打つから」という答え。たしかに、“チョイ出し”の場合、打つ距離はせいぜい30ヤード前後だが、ライの悪い状況で短い距離を打つ場合、ロフトは多ければ多いほどミスになりやすい。また、ロフトが多いメリットはボールの上げやすさに尽きるが、林からはボールが上がることがデメリットになってしまう。特殊なケースを除き、林の中にウェッジを持ち込むべきではない。

画像: 6番、8番、52度、それぞれ10球ずつ打ってみた

6番、8番、52度、それぞれ10球ずつ打ってみた

ボールを上げてくれるロフトが、林の中では邪魔になる。そのため、昔は3番アイアンや4番アイアンを林に持っていく人も多かったが、現在ほとんどのゴルファーのバッグにロングアイアンは存在しない。いまや5番を抜いている人も少なくない、というわけで、6番と8番でどちらが確実性が上かを検証してみた。

「木の下を通さなきゃ」と思ったら6番

結果は、8番、6番ともに10球中7球成功。成功率だけ見れば、6番と8番の間に差は見られなかった。面白いのはミスの内訳で、明らかな打ち損じを除けば、6番では反対側のラフまで行ってしまうミスが出た一方、8番ではフェアウェイまで届かないミスが出た。

「打ちやすいのは8番でしたが、“出し切れない”ケースもありました。対して6番は振り幅が小さいのでラクな一方、8番と比べると、正確にとらえるのがやや難しく感じられました」(F)

最近のクラブは6番アイアンでもロフトが26度前後と立っていることが珍しくなく、クリーンヒットした場合に“飛びすぎ”の心配がある。しかし、ロフトが立っている分だけボールが上がりにくいため、木の枝に当たる心配は少ない。

一方で8番はクラブ自体が6番より1インチ短い分、林の中での取り回しに長け、アプローチ感覚で打てるのもメリットとなる。

実験結果を踏まえ、プロゴルファー・中村修にまとめてもらった。

「林からの脱出には、打ち損じのミスはともかく、反対側のラフまで行ってしまう出し過ぎのミスもつきもの。なので、基本的には8番でいいと思います。ただ、アドレスしたときに『木の枝が気になるな』と思ったら、その瞬間に6番を持つべき。6と8、2本のアイアンをケースバイケースで使い分けるのがいいと思います」(中村)

ちなみに、林から脱出する際にもっとも大切なのは、打ち出す方向にフェース面を合わせること。打ち出したい方向のボールの先30センチの位置にスパットを見つけ、そこにリーディングエッジが真っすぐ向くように構えることだと中村は言う。

画像: スパットを見つけてフェースをスクエアに合わせることが大前提

スパットを見つけてフェースをスクエアに合わせることが大前提

「ライが悪い場合が多いので、ボールを真ん中よりやや右にセットし、手を左足内ももにおいてやや強めのハンドファーストで構えて下さい。手元の運動量を抑え、コックを多用してクラブを上げたら、“当てて終わり”の意識で打つのがナイスアウトにつながります」(中村)

今回は「出すだけなら簡単」というシチュレーションでの実験だったが、よりシビアに隙間を抜くような場合は、より精密なスウィングが求められる。フェースの向きを合わせること、コックを使って手元の運動量を抑えることがその場合のカギだ。番手選びと合わせ、覚えておこう。

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