身長166センチと小柄だが300ヤード以上の飛距離を誇るのは“雑巾王子”こと武市悦宏。わずか1年で飛距離を100ヤードも伸ばすことができたノウハウを詰め込んだ著書「オレって、こんなに飛んだっけ?」から、武市プロの代名詞でもある“ツイスト打法”をご紹介。

目的はひとつ。「カラダの正面で打つ」こと

この本では僕の考えた「ツイスト打法」について説明するんだけど、いきなりツイスト打法と言われても、ワケわからんよね? そこで、まずはこの打ち方について、みなさんに理解していただきたい。

ツイスト打法を一言で表現すれば、「カラダの回転に一瞬ストッパーをかけることで、カラダの正面で打つ」やり方のこと。

そしてキーワードは、この3つ。

【1】タメない、【2】手を返す、【3】ベタ足で振る

この3つはすべて、「カラダの正面で打つ」という目的のためにあるんだ。カラダの正面で打つことは、球を曲げずに遠くに飛ばすための絶対条件だからね。

多くの人は、「ダウンで右ひじを体につけてタメを作り、ボディターンで振る」のが正しいゴルフスウィングだと思っているんじゃないかな? でも、そのイメージで振ると、「カラダの正面で打つ」のはものすごく難しい。試しに自分のスウィングを録画してみるといいよ。カラダばっかりが先行して、クラブが戻ってきていないって人が多いと思うから。

要するに、ほとんどのアマチュアの人は振り遅れていて、そのせいでフェースが開いてスライスしたり、逆にかつての僕みたいにチーピンに悩んだりする。これって、クラブをタメようとしているのが最大の原因なんだよ。だから、まずは「タメる」という意識を捨て去って、「タメない」というアタマで振ること。それが、カラダの正面で球をとらえる、ツイスト打法の第一段階なんだ。

じゃあ、どうすればカラダの正面で打つことができるのか。それは、クラブをタメずに、インパクトの直前で腰をターゲットと逆方向に回すイメージを持つこと。

ちょっと僕がスウィングしている写真を見てほしいんだけど、どう? 見事にカラダの正面でインパクトしてるでしょ。これ、自分の意識の中では思いっ切り腰を逆回転させてるんだわ。それぐらいの意識で、ようやくカラダの正面でインパクトできるってわけ。

画像: インパクトの瞬間、体は正面を向いている

インパクトの瞬間、体は正面を向いている

これが「でら」飛ぶんだわ~。カラダの回転に対して腰がストッパーになることによって、ヘッドがビューン! って走るからね。身長166センチとチビで、筋トレも一切しない僕が300ヤード飛ばせる秘訣がここにあるんだ。

回転に対して一瞬ストッパーをかけるだけなんで、もちろんそのあとカラダはターンする。単純な「ボディターン」に対して、「ツイスト&ターン」って感じだね。

とはいえ、スウィング中に腰を逆に回せって言うと、「そんなもん無理!」っていう人がほとんど。やろうとしても、感覚が全然分からんっていう人も大勢いる。

そういう人は、オフィスによくある、キャスター付きの回転椅子に座って、シャドースウィングしてみてほしい。やってもらえれば絶対わかるけど、インパクトの瞬間、座面がくるっと逆回転するんだよね。これこそまさにツイスト感覚。

引き戸を開けるときも同じ感覚が得られるよ。たとえば引き戸を右から左に開けようと思ったら、わずかにカラダは右回転(ドアが開く方向と逆回転)する。要するに、ツイストが起こるってわけ。

画像: オフィスなどにある回転椅子に足を浮かせた状態で腰かけてスウィングしてみよう。インパクトの瞬間、座面はスウィングの回転方向と逆回転を起こすはず。この感覚が「ツイスト」だ

オフィスなどにある回転椅子に足を浮かせた状態で腰かけてスウィングしてみよう。インパクトの瞬間、座面はスウィングの回転方向と逆回転を起こすはず。この感覚が「ツイスト」だ

回転椅子でスウィングする感覚と、引き戸を開ける感覚。このふたつが、ツイスト打法の基本。座面が逆回転する瞬間、引き戸を開けた瞬間、どちらもカラダは正面を向いているはず。カラダが正面を向いたままだから、一番効率よく力を出せるってわけ。

カラダの正面で打つこと。そのためには、クラブをタメずにインパクト直前で腰を逆回転させる、または止める。細かいやり方はおいおい説明していくけど、まずはクラブをタメないことがツイスト打法のキーワードその1ってことだけ覚えておいてね。

「オレって、こんなに飛んだっけ?」(ゴルフダイジェスト新書)より

写真/姉崎正

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