パットでもディスタンス系のボールがよく転がる
最近のボールは、多いもので5ピースまである多層構造ですが、パットにおいてボールの性能を左右するのは、表面の硬さです。ロングパットであれば、コア部分の影響も多少出てきますが、インパクトでボールの変形が起こらないような距離のパットでは、カバーの硬さがボールの転がりを決定付けるといっても過言ではありません。
結論からいえば、カバーが硬いものほど距離が伸び、軟らかいものほど距離が落ちます。一般的にはディスタンス系は表面が硬く、スピン系は軟らかいので、球離れの早さからディスタンス系のほうが転がるといえます。
以前、ディスタンス系とスピン系のボールを三種類ずつ使用し、ロボットを使い5メートルの距離を想定したパットのボール初速と距離を計測した実験を行ったところ、距離の差は最大25センチでした。わずか25センチと思うかもしれませんが、曲がるラインでは、狙いどころに大きな違いが出てくることは間違いありません。
ここで触れておかなければならないのが、打ち方です。タップ式はストローク式に比べ、ボールとの接触時間が短いため、当たった瞬間のディンプルの影響が大きく出やすい。カバーの硬いボールを使うと、ますます球離れが早くなるため、当たった瞬間のディンプルの影響がもろに出てしまいます。一方、テークバックに対して、フォローを2倍程度大きく真っすぐに出す2支点縦振り子ストロークなら、カバーが硬い、軟らかいに関係なく、どちらも遜色なく使いこなすことができます。
「パットからボールを選べ」とは言いませんが、使っているボールがグリーン上でどういう特徴を持つのかを知っておくことは大切です。また、グリーン上でも性能の差が出るものなので、ボールの銘柄はあまりコロコロ替えないほうがいいでしょう。使うボールを決めたほうが、距離感、方向性ともに整ってくることは間違いありません。
「入っちゃう! パットの法則」(ゴルフダイジェスト新書)より
写真/三木崇徳