「打ちやすさ」を追求したら、往年の名器と同じ長さになった
マグレガーといえば、アメリカンブランドの御三家(マグレガー・スポルディング・ウイルソンが40年代〜80年代の主役)の一角。帝王・ジャック・ニクラスなどとともにゴルフの歴史を作ってきた名門だ。そのマグレガーが久々に登場させたオリジナルモデルが「Mc7(マックセブン)」。ドライバーからパターまでを7本で構成した、キャディバッグ付きの初心者モデルである。
マグレガーCCのクラブハウスには、名器と呼ばれたパーシモンドライバーが飾られていたりするけれど、最新モデルである初心者セットを見ても、そこに名ブランドの末裔的な重厚さや歴史のつながりを感じるゴルファーは少ないだろう。とても残念ではあるが、それが自然な感覚だと思う。
しかし撮影中、カメラマンと主役である「Mc7」と背景にあるヴィンテージドライバーの見え方について液晶を見ながら協議していた時、気づいたことがあった。それは「Mc7」のドライバー(DW)と、壁に飾られた名器ドライバーの長さが、どちらも43インチ前後だろうということだ。
ご存知のとおり、現在、ドライバーのほとんどは体積460cm3で、長さは45.5インチ前後で作られている。その中で「Mc7」の43インチドライバー(体積380cm3)になっているのは、かなり異端である。よほどの理由がなければ、今どきこういう設定にはしない。
「最大飛距離を追い、シャフトを長く、ヘッドを大きくしていくとドライバーと他のクラブのつながりが悪くなる傾向があります。ドライバーを単体ではなく、7本セットを構成する一本として考えた時、43インチがプレーに必要な飛距離を出しつつ、他のクラブと同じ感覚で振れる長さなのではないかと考えました」(マグレガーゴルフジャパン/松下健さん)
セットの中のドライバー。クラブ全体のつながり。そんなことを思った時、ドライバーは偶然にも往年の名器と同じ長さになったということだ。1ヤードでも遠くに飛ばしたい! というゴルファーニーズに応えるために、とにかく“飛ぶドライバー”を作ろうと知恵をしぼるのも進化の道。しかし、もう一つ、他のクラブとの“つながり”や、ラウンドで使う順番、流れを考慮したトータル的なクラブ開発の必要性を改めて感じる。
米ツアーでは、3Wでティショットする選手も多いが、よく考えれば今の3Wは昔のドライバーと同じ長さなのである。とにかく飛ばす! ではなく、あくまでもスムーズに、少ないスコアでラウンドするためにドライバーはどうあるべきか。そう考えた時にゴルファーの出す答えは、今も昔も変わらない。そんなふうに思う。