試打したのは、キャロウェイの「ローグ スター」「ローグ」「ローグ サブゼロ」の3モデル、テーラーメイドの「M3」「M4」の2モデル、そしてピンの「G400MAX」の計6モデル。すべてロフト10.5度で、シャフトは純正のSシャフトで揃えた。
「どのクラブも非常に出来がいい。この中から一本選べと言われたら、正直すごく悩みます」
今回テスターを務めてくれた堀口宜篤プロがそう語るように、今回試打した6モデルは基本的な性能はどれも高い。ただ、それぞれ性格は大きく異なることも分かった。
「やさしい」「ハード」「その中間」6モデルを3カテゴリーに分類
「今回試打した6モデルは、3つのカテゴリーに分類できる」と堀口プロ。そのうち、もっともやさしいカテゴリーに入れられるのが、キャロウェイの「ローグ スター」とピンの「G400MAX」だ。
「どちらも投影面積が大きく、振れば勝手に当たってくれるような安心感があります。実際に打ってみても、どちらも45.75インチという長さを感じないし、軽くて振りにくさがない。とくに、『ローグスター』はネックにロフト調整機能がついていないこともあって、振りやすさは抜群です。力まずに振り抜けば勝手に球が上がって飛ばしてくれるというオートマチックでやさしいという感覚が強かったです」(堀口)
弾道はどちらも高弾道。ヘッドスピード40m/sくらいで打ったときにもっともパフォーマンスを発揮したことからも、この2本がアベレージゴルファー層をターゲットにしていることがわかる。両者を性能的に分けるのがボールのつかまり具合で、ローグ スターのほうがつかまる設定になっている。基本的には、スライサーならローグ スター、そうでないならG400MAXのほうが合う可能性は高い。
スピン量も適度にかかります。ヘッドスピード45m/sで打った場合よりも40m/sでも打ってみたところ、効率よく飛距離に結びついていることがわかった。G400MAXにおいてはシャフトシャフトを46インチ仕様の「ALTA DISTANZA」の40gの軽量シャフトに差し替えてテストした。
「もちろん『ローグ スター』『G400MAX』ともにヘッドスピードが速い人でも打てますが、純正シャフトで適正なのは40m/s前後。また、G400MAXは46インチで40グラムのシャフトも選べるので、そちらは38m/s前後くらいのヘッドスピードでもオッケー」(堀口)
よく似た特性を持つ両者。つかまり度合いや、「ローグ スター」にも40g台のシャフト「フブキ」も選べるので、シャフトのチョイスなどが選ぶ際の決め手になってきそうだ。
ローグ サブゼロの軟らかい打感にプロも驚いた
さて、ローグ スターとG400MAXがもっともやさしいカテゴリーだとしたら、「ローグ サブゼロ」とテーラーメイドの「M3」はもっともハードなカテゴリーに分類できる。
「シャープさを求めるなら『ローグ サブゼロ』、あるいは『M3』でしょう。『サブゼロ』はローグシリーズの中でもっとも小ぶり。カタマリ感があるというか、中にまで鉄が詰まっているかのような印象を受けます。対して『M3』は座りがよく、ピタッとスクェアに構えられるのが特徴。シルバーと黒のコントラストが目に鮮やかで、構えやすいですね」
見た目の印象そのままに、実際に両ドライバーともヘッドスピードのあるハードヒッター向け。ヘッドスピードは45m/sくらいあったほうが、性能をフルに引き出せるはずだ。つかまり加減でいえば、叩いても左に行かないのがM3、ほどよいつかまり感があるのがローグ サブゼロ。
ただし、ローグ サブゼロはネックに調整機能があり、M3には大きく動かせる可変ウェートが備わっているから、つかまり具合の微調整は可能だ。では、両者の個性はそれぞれどこにあるのだろうか?
「個人的には、このローグ サブゼロが非常に気に入りました。その理由は打感。弾くというより吸い付くという表現がピッタリな軟らかい打感でありながら、データ的にもっともボール初速が出たのがこのサブゼロだったからです」(堀口)
堀口プロいわく、「ローグ サブゼロ」が前シリーズの「エピック サブゼロ」からもっとも進化しているのが、この打感の良さだという。打感がいいから思い切り叩くことができ、叩いた結果飛距離が出る。そんな好循環が生まれたようだ。
では、一方のM3はどうだろうか。堀口プロは、M3に搭載されたフェース面を“ねじる”ことでミスヒット時の曲がりを抑えるという新技術「ツイストフェース」を評価する。
「これはミスヒットしたなと感じたときに曲がりの幅が思ったより抑えられているという印象です。私はドローヒッターなので、トウ寄りの上目でミスヒットをすることがありますが、そのときにボールにかかるフック回転が少ないように感じました。これは実際にコースで試してみたいですね」(堀口)
打感の良さとつかまりを求めるならローグ サブゼロ。ミスヒット時の曲がりの少なさや、自分好みに合わせられる調整機能を求めるならM3、といったところだろうか。
これはいい! 「M4」は使い手を選ばない
そうすると残りの「M4」と「ローグ」は中間的カテゴリーということになる。堀口プロは、とくに「M4」のポテンシャルに驚いたという。
「『M4』は『M3』同様シルバーと黒のコントラストが好印象。打ってみると、前作『M2』のプラスティックで打ったような打感から、金属ではあるが軟らかい打感に進化しています。M3は三菱ケミカルのクロカゲが純正シャフトですが、M4はクロカゲよりも全体にしなり量が多いフブキが装着されています。このマッチングが非常に良く、軽いドローで高打ち出し・低スピンのビッグボールで飛ばすことができました。ダスティン・ジョンソンやジョン・ラームは『M4』で早速結果を出しているようですが、納得です」(堀口)
冒頭で「どれか選べと言われたら非常に迷う」と言っていた堀口プロが、最終的にもっともお気に入りとして挙げたのが、このM4。プロが気に入るということは往々にして一般アマチュアにはハードであることを意味するが、M4に関してはヘッドスピードが40m/s前後でも十分にボールが上がり、つかまりも悪くないことから幅広い層が使えるのも好印象だという。では、一方のローグはどうか。
「『ローグ』は、見た目的には『ローグ スター』に近く、かつネックには『ローグ サブゼロ』と同じく調整機能がついているというまさしく両者の中間に位置するモデル。ヘッドスピードでいうと43m/s前後で、叩くというよりスウィングでボールをとらえるタイプにマッチするでしょう。つかまりもいいので、スライサーでも使えます」(堀口)
最後に、計測データの各部門の「1位」がどれだったかを公開しよう。
ボール初速:ローグ サブゼロ
打ち出し角:M4
スピン量の少なさ:G400MAX
エピック同様、ローグの初速性能は引き続き高そうだ。そしてM4は前作、前々作と2モデル続けてヒットした「M2」よりも、さらに幅広い層が使えるクラブへと進化したことが、打ち出し角の高さからも見える。G400MAXは軽量で、今までピンのクラブが重くて使えなかった層にもアピールできるクラブと言えるだろう。
話題だけでなく性能面でも“間違いない”と言えそうな春の新作ドライバー。どれを選ぶべきか、ゴルファーの嬉しい悩みがまた増えてしまった。