自身の2018年初戦となったソニー・オープン inハワイで小平は屈辱の最下位で予選落ちを喫した。出場144人中棄権したひとりを除き単独143位。トッププロの最下位はなかなかない珍事である。
日本女子プロゴルフ協会の小林浩美会長が現役時代、米ツアーのある大会で最下位になり「初めての経験だし滅多にないことだから思わず(新聞記事を)切り抜いて保管しちゃった」と笑ったことがある。インターネットのない時代の逸話だがツアー経験が長いベテランでも最下位はそうそうないということ。
小平の場合はエースドライバーを損傷し替わりのクラブを「こわごわ振っていた」ことがハワイでの絶不調につながったが、わずか数日で修正し復活。シンガポールで行われた国内ツアーの開幕戦では最終日も酷暑のなか集中力を切らさず、ガルシアに5打差ながら日本勢最高の2位タイに食い込んだ。
実はソニー・オープン直後、不甲斐ない小平に苦言を呈するコラムを書こうと思っていた。年末に盛大な披露宴を催したあと早めにハワイに乗り込み調整しているはずだった。それなのにさまざまな芸能人との交流がSNSを賑わし「?」マークが頭によぎった。
小平は年末の世界ランクでトップ50から圏外に弾き出されマスターズの切符を逃したばかり。正直こんなときだからこそ意地を見せて欲しかった。ところが結果は最下位。納得がいかなかった。
だが考えるまでもなく一番悔しい思いをしたのは小平本人。忸怩たる思いをすぐ次の試合で挽回したのだからさすがといえる。
ところでシンガポールでの熱戦の最中、熊本の後輩・有村智恵、笠りつ子とともに美保夫人がテレビに出演し小平と付き合い始めた頃のエピソードを語っていた。
美保夫人によると7つ年下の小平と当初は付き合うつもりはなかったのだとか。あくまでも仲の良い飲み友達のひとり。ところがある日「付き合って欲しい」と告白され「いやいや、それはないでしょ」と思わず断ってしまったという。
すると小平は「僕は真剣です。付き合ってもらえないなら、もう2度と会いません」ときっぱり。
「もう2度と会えないのかぁ? と思ったらキュンとしちゃって……」。やるときはやる男である。
シンガポールで2位タイに入ったことで世界ランクトップ50位圏内浮上はほぼ確定。だが一喜一憂するわけにはいかない。マスターズの前週までトップ50を巡る熾烈な戦いは続くのだ。それでも“やるときはやる男”はきっと我々の期待に応えてくれるはずだ。
写真:姉崎正