タイガー・ウッズの当時の契約先・ナイキがゴルフクラブ、ボール事業から撤退を表明したのは2016年8月のこと。それから、「タイガーはどこのクラブを使用するのか」は、世界的関心事となっていた。そして2016年末のヒーロー・ワールドチャレンジでテーラーメイドの「M2」ドライバーを使用して実戦復帰。2017年1月に、正式にクラブ契約を結んだ。
それから1年。タイガー・ウッズが復帰戦の相棒として選んだのは、ダスティン・ジョンソン、ジョン・ラームが使用してすぐに勝利を収めたことで大きな話題となっているテーラーメイドの「M4」ではなく、調整機能を備えた「M3」のほうだった。
米国テーラーメイドの公式サイトには、「タイガー、ツイストフェース、トーリパインズ(ファーマズ・インシュランス・オープンの開催コース)」と題された記事がアップされている。その記事によれば、タイガーが2016年モデルの「M2」から2018年モデルの「M3」にチェンジしたのは火曜日のこと。
テーラーメイドの本社を訪ねたタイガーは、M3ドライバーを手に、310ヤード以上のキャリーで330ヤードを越す飛距離を連発したのだという。M3には440CCのものと460CCのものがあるが、タイガーが使ったのは460CC。ロフトは8.5度で、調整機能を用いて1度ロフトを増やしているそうだ。
「ツイストフェース(M3に搭載されたフェース設計の新技術)はゲーム・チェンジャーだ」
タイガー・ウッズはそう語ったという。そんなタイガーは、初日を終えてスコア72、松山英樹と同じ84位タイと静かな出足ながら、ドライバーの平均飛距離は314.0ヤードとかなりの数字を叩き出している。これは、23歳の飛ばし屋、ジョン・ラームを1ヤード上回る数字だ。
思えば1997年、デビュー当時のタイガーが使用していたのは195CCのキングコブラメタル。それからタイトリスト、ナイキと使用クラブが移り変わっていく中で、ヘッド体積は2倍以上になり、スチールシャフトはカーボンシャフトになった。軽くなり、長くなった。
この20年で劇的にゴルフクラブが変化していく、その渦中にあって、タイガーは自分のスウィングをクラブにアジャストさせ続けることで、ゴルフ界の先頭に立っていた。
度重なる手術を経て、ようやく健康な体を取り戻したように見える2018年のタイガー。頼れる相棒を手に、圧倒的な飛距離と抜群のアイアンショット、そして神業的ショートゲームで勝利を収める、そんなタイガーの姿がまた見たい。
トップ画像撮影:姉崎正