半世紀以上前の偉業に挑戦中
2年連続で4ホールのプレーオフを制し栄冠に輝いた松山。例として正しいかはわからないが、このところPGAツアーではプレーオフによる決着が続いていており、プレーオフ負けなしの松山に3連覇の期待がかかっている。
「この大会で3連覇したのはキング、アーノルド・パーマー(61年、62年、63年)だけ。その記録に並べるとしたら夢が叶うというか信じられないようなできごと。これまでのハードワークがすべて報われる」と大会前の記者会見で松山は語っている。
今シーズンはタイガーが復帰。ジェイソン・デイが復活優勝を遂げ、ジョン・ラームや次週からPGAツアーに乗り込んでくるローリー・マキロイらライバルたちも好調だ。
「ファン目線でいえば今年のツアーはすごく面白いと思う。先週(ファーマーズ・インシュランス・オープン)タイガーと同組で回れたのはスリリングだった。でも同じ土俵に立つ人間として彼らに負けるわけにはいかない」
「もちろん個人的には名前が挙がった選手たちのファンだし、ゴルフ界にとって素晴らしい人材ばかり。自分ももっと頑張って上を目指したいと思わせてくれる」
WGC-HSBC選手権やヒーロー・ワールド・チャレンジでたて続けに優勝を飾った2016-2017シーズンほどの勢いはないが、ファーマーズ・インシュランス・オープンの最終日に「難しいコースで69をマークできて、ようやくゴルフの調子が上がってきたのを感じた」という松山。
「ストローク・ゲインド・パッティング(パッティングの貢献度)のスタッツは自分が経験したトリーパイン(ファーマーズの開催コース)史上もっとも数値が良かった。パットも含め上り調子のタイミングで(得意の)フェニックスにこられて良かった」
大会初日はパッティングよりむしろショットに冴えを見せた。ドライビングディスタンスは313.2ヤード(23位タイ)、フェアウェイキープ率は71.43%(5位)、パーオン率77.78%(13位タイ)と良好な数字が並ぶ。その割に2アンダー69はやや不満が残るが勝負はここからだ。
得意な試合には何か説明のつかない偶然や必然が重なるもの。ツアーで最多のギャラリーを誇るフェニックスオープンで「Go Hideki!!!!!」の大声援がジャパニーズヒーローの背中を押す。
写真/姉崎正