プロゴルファー・中村修は、「ティグラウンドでパッとできるスライス対策は3つほどある」という。そして、その3つの対策は、違和感が少ないほど効果も少なく、違和感が大きいほど即効性が高い。「できればスライスさせたくない」のか「絶対にスライスさせたくない」なのか、度合いによって使い分けるのが吉だ。まずは違和感の少ないものから紹介しよう。
「多くの人は、ボールにピッタリと合わせるようにクラブを構えると思いますが、ドライバーのヘッドをボールから15センチほど離して構えてみてください。そのとき、ボールがクラブフェースの真ん中ではなく、トウ寄りなるようにセットします。こうすると、クラブがインサイドから入ってきやすく、なおかつトウ側に当たりやすくなるので、スライスの度合いが減らせます」(中村)
スライサーの中には、ボールにクラブを合わせた瞬間に、右肩が前に出て(体が開いて)しまう人も多い。ボールから離してトウ寄りに構えることで、スクェアなアドレスになり軌道はカット軌道からインサイドアウト軌道になりやすいというメリットもある。
さて、続いては少し違和感が大きくなるがその分効果も高まる方法。
「ティアップをいつもより高くして、ボールの右側面を覗き込むようにして構えるのもスライス防止に効果があります。高くティアップするとアウトサイドイン軌道で振りにくく、インサイドからアッパー軌道で打ちやすくなるからです。そのとき、ボールの右側面を覗き込むように構え、その視界をキープしたままインパクトを迎えるイメージを持ってください。右肩が出たり、上体が突っ込んだりといったスライスの原因となる悪い動きを抑制する効果が期待できます」(中村)
最後は、違和感の大きいもの。違和感が大きい分効果も大きく、下手するとスライスではなくフックが出るほどの威力だ。
「右足を極端に引く超クローズスタンスで構えるんです。どれくらいかといえば、背中がターゲット方向を向くくらい。スライスの原因は、とどのつまりはインパクトで体もフェースも開くこと。このように超クローズで構えれば、どうしたってフェースを返すしかありませんから、スライスを防ぐ効果は抜群です」(中村)
フェースを極端にかぶせるという方法もあるが、これは「どれくらいかぶせるか」という案配が意外と難しいのと、かぶせて構えるとかえってインパクトではフェースが開くことがあり、効果はあるがやや結果が安定しない。
ここで挙げた3つの方法は、どれもアドレスでの一工夫で、スウィングはいつも通りで構わない。スライサーなら1ラウンドに1度や2度は出くわす「うわっ、このホール、右OBが出そうだぞ!」というホールで思い出してみてほしい。
写真/大澤進二