傾斜地からのショットは「傾斜に逆らって立って打て」というレッスンも「傾斜なりに立って打て」というレッスンも両方存在し、「本当はどっちなんだよ!」と思っているアマチュアは多いはず。年間150ラウンド以上のコースレッスンを行っている実戦のスペシャリスト・小野寺誠プロは、「どちらも正解だけど、どちらも不正解」だと話す。それは一体どういう意味なのか。

どちらも正解でどちらも不正解……一体どうしたらいいの?

「どちらの方法でも傾斜地からボールを打つことはできます。でも『傾斜に逆らって立つ』打ち方は、重力に対して垂直に立ってスウィングするためバランスよく振りやすい反面、左足上がりではロフトが立って球が上がりにくいしフォローの抜けが悪く、反対に左足下がりでは手前の傾斜が邪魔になってダフリやすいなどのデメリットもあります」(小野寺プロ)

「一方、『斜面なりに立って打つ』場合、傾斜に沿ってスウィングするのでスムーズに振り抜けるのですが、軸が傾いたままスウィングするためバランスを崩しやすかったり、左足上がりではロフトが寝すぎて飛ばなかったり、左足下がりでは立ちすぎて球が上がらないなどの問題が出てきます。つまり、いずれも一長一短あるんです」(小野寺プロ)

画像: 下半身は斜面に逆らって立ち、上半身は斜面なりになるように構える

下半身は斜面に逆らって立ち、上半身は斜面なりになるように構える

結論から言えば、それらの長所、短所を理解して、状況に応じて使い分けることが大事なのだが、コース内で数多く遭遇する、それほど傾斜のキツくないゆるやかな斜面では、その中間の打ち方がとても有効だと小野寺プロは言う。その「中間の打ち方」とは、下半身は斜面に逆らって立ち、上半身は傾斜なりになるように構えて打つハイブリッドな方法だ。

「下半身は、傾斜に逆らってバランスよく立つことで、スウィングの土台を安定させます。『斜面なり』の立ち方は、傾斜の低い側の足で体重のほとんどを支えて立ちますが、ここでは傾斜の高い側の足にも加重し、下半身は重力に対して垂直な状態を作ります。そして上半身は、その真上に垂直に乗せるのではなく、斜面に沿わせるように少し傾けて構えます。これによって、ロフトが極端になりすぎずに、スムーズに振り抜けます」(小野寺プロ)

画像: 左足上がりでは、左股関節に支点を置いて斜面なりにアッパー気味に振り抜く

左足上がりでは、左股関節に支点を置いて斜面なりにアッパー気味に振り抜く

ポイントは、左足上がりではアドレス時の左股関節に、左足下がりでは右股関節に支点を作って構えること。そして、左足上がりではフォローを少し高く、左足下がりではフォローを低く、斜面に沿うようにヘッドを出してスウィングしよう。これによって、ダフったり刺さったりせずに振り切ることができるのだ。

画像: 左足下がりでは、右股関節に支点を作って斜面なりに低く振り抜いていく

左足下がりでは、右股関節に支点を作って斜面なりに低く振り抜いていく

「急傾斜では上半身だけを傾斜なりにセットしにくいですが、ある程度ゆるやかな傾斜地なら、振り抜きやすく、距離感も大きくズレにくいので、コースでも大きなミスになりにくい。ぜひ身につけて、実戦力アップを図ってください!」(小野寺プロ)

写真/田中宏幸、協力/東松苑ゴルフ倶楽部

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