「お先」パットをなめてはいけません
以前、あるコンペに参加したときのことです。同伴プレーヤーが50センチ程度の距離を「お先」しましたが、カップを1メートル以上オーバー。マークして次の打順を待ったのですが、返しも外して結局4パット……。同伴プレーヤーや後続組への配慮のためのお先パットが、余計に時間をかけることになってしまい、本人の精神的なダメージも大きく、その後もグリーン上で苦しむことになってしまいました。
そもそも、50センチのお先パットが、10センチ以上曲がる下りのラインだったことに発端があります。私の経験上、ラインが読めていないままパットすると9割方外してしまう。短いからといって、なめてかかってはいけないのです。
お先を外すメカニズムは、メンタルの要素が大きい。ある程度入れる自信を持って打っているので、普段ショートしがちな人でも強くしっかり打つことが多いようです。また、リラックスしてリズム良く振れるので体重も乗るし、より大きな慣性力が生じてボールを打ち出せます。これが、お先パットを外す原因といえます。
お先パットを科学的に分析することは難しいのですが、強いて定量的に数字を使って表現すれば、ファーストパットがイメージ良く打てて、ボールがラインに乗ってそのまま50センチ程度転がれば入ると確信できた場合、または、上りで5センチ程度曲がる1メートル以内の得意なラインのパット以外は、お先をすべきではないと思います。
また、下りのパットは、返しのパットがお先できない距離になることもありますから、避けるべき。3度以上の大きい傾斜の横からのパットでも、20センチ以上の距離はお先はしないほうがいいです。
とにもかくにも、ラインを確実に読めていることが絶対条件ということを忘れないでください。
「入っちゃう! パットの法則」(ゴルフダイジェスト新書)より
写真/増田保雄