スパイクかスパイクレスか、それが問題だ
ゴルフシューズには大きく分けて2種類ある。ソールにゴムやプラスチック、合成樹脂でできた鋲を装着し、その鋲の喰い付きで滑りを抑制する「ソフトスパイク」と、通常のシューズと同じようにソールと一体型構造を採用しつつ、素材やブロックパターンなどに工夫を凝らして滑りを抑制する「スパイクレス」だ。
まず鋲付きのソフトスパイクから説明しよう。もともと昔のゴルフシューズは、革のソールに金属の鋲(メタルスパイク)を装着したもので、地面に直接鋲を刺すようにして滑りを抑制していた。しかし、グリーンを歩くだけでダメージを与え、少しでも足を引きずれば修復に大きな時間がかかるような傷をつけてしまうなどの問題により、金属の鋲は姿を消していったのだ。
代わりに生まれたのがプラスチックや樹脂などでつくられた「ソフトスパイク」。鋲のひとつひとつが爪のようになっていて、これで芝をつかむようにして滑りを抑制する。完全にコース、つまり芝や土などの環境下でしようすることを前提しているためグリップ力はとても高い。鋲はどれも脱着式になっていて鋲が摩耗しても交換できるので、ちゃんとお手入れすれば長く使うことができる。
対する「スパイクレス」は、ひと言でいえばスパイクの付いていないタイプのゴルフシューズ。ソフトスパイクとの違いは、ソール自体に滑らない加工をしているため、ソールがすり減ればグリップ力も落ちること。
スパイクレスは、モデルによってソールに使用する素材や形状が大きく違う。コースでの使用時にソフトスパイク並みのグリップ力を狙ったタイプ、練習場などでの使い勝手をも配慮した汎用性の高いタイプなどがあある。
見分け方は、履いてみるのが一番だが、ソールを見て凹凸の大きいタイプ、素材が硬めのタイプは、コースでのグリップ力重視。比較的ソールが柔らかめで、接地面が平らにデザインされているものは汎用性重視といった感じだ。もちろん、どちらもコースで使うことができるからどちらを選んでも正解。プロでもスパイクレスの愛用者はいる。
スニーカータイプとクラシックタイプ、という区分も
ゴルフシューズには、ソールだけでなく形状にもタイプがある。こちらも大きく分けて2種類。クラシックタイプとスニーカータイプだ。クラシックタイプは、イギリス発祥のサドルシューズに近いデザインで、フォーマルな雰囲気を持っている。昔ながらの本革を使ったモデルは重量があり、長い距離を歩くゴルフには向かなそうなイメージがあるが、靴が重い方が疲れないというゴルファーも多く、根強い人気がある。
スニーカータイプは、文字通りスニーカーに近いカジュアルなデザインを採用したタイプ。素材も合成繊維やメッシュを使い、機能を高めたモデルが多い。昔はクラシックタイプはソフトスパイクが多く、スニーカータイプはスパイクレスのような風潮があったが、現在はソールタイプ関係なくどちらのデザインも採用されている。好みで選ぼう。
慣れてる靴ひもか。人気のダイヤル式か
最近では、よりフィット感を向上させるためにBoa®(ボア)システムを代表としたワイヤーをダイヤルで締め付けていくシステムを搭載したモデルが人気だ。靴ひもタイプよりもより細かく締め付けを設定できるので、フィット感を重視するゴルファーには人気が高い。試し履きして、着用感をチェックしよう。
シューズはファッション性も高いので、機能と合わせて選ぶのが大変だ。だがソールから用途に合わせて選べばまず機能的に間違えることはない。下記に簡単にまとめてみたので参考にしてほしい。
【ソフトスパイクのメリット】
コースでのグリップ力が高い
鋲が交換できるのでメンテナンスすれば長く使える
【ソフトスパイクのデメリット】
練習場で使うと鋲が傷みやすい
重いモデルが多い
【スパイクレスのメリット】
比較的軽い
モデルによっては普段も履ける汎用性の高さ
【スパイクレスのデメリット】
ソールの交換が効かないので履きつぶすしかない
ソフトスパイクのデメリットにある「練習場で使うと鋲が傷みやすい」だが、ソフトスパイクの鋲はあくまで芝の上で芝に食い込むという性能を考えて作られており、マットの上で履くと鋲のぶんだけ足の位置が高くなってしまう。またマットに引っかかって鋲の爪が折れてしまう可能性もあるため、ソフトスパイクを練習場で使うことはおすすめできない。
スパイクレスのメリットの「普段も履ける」という部分は、しっかりモデルを選ぶ必要があるので注意が必要だ。あまりソールが硬いと、タイルなどのツルツルした床ではとても滑りやすくなる。ちなみにゴルフシューズは全般的に防水加工されているものが多いので、普段履きできるスニーカータイプのスパイクレスを選べば防水で雨の日のシューズとして便利、なんて裏技もある。
写真/田中宏幸、協力/スポーツオーソリティ幕張新都心店