マスターズといえばガラスのグリーンと呼ばれる高速グリーンで有名。今年の大会でも、優勝したパトリック・リードが勝負どころの長いパットを沈める姿が印象的だった。そんなリードが手にしていたのが、オデッセイのホワイト ホット プロ#3。2013年発売の“5年もの”パターだ。
今週開幕する国内男子ツアー「東建ホームメイトカップ」の会場で、オデッセイのツアー担当、中島申隆さんに、このパターの特徴を聞いてみた。
「性能的にはL字パターとブレードタイプの中間。シャフトからボールにかけてネックが視界を邪魔しないので、スッキリと構えられ、ボールに集中できます。また、オフセット(シャフト軸線からフェースのリーディングエッジまでの距離)が少なく、手を使って操作するタイプのストロークに合うんです」(中島)
開幕戦に参戦する竹谷佳孝もこのパターを所有しているといい、「L字の操作性の良さと、ブレードの構えやすさ、両方を兼ね備えたパターです」と同じように性能を説明してくれた。
どうやら、基本的に、ショートスラントネックを採用することで、パターは操作性を高めることができるようだ。プロゴルファーの中井学も、それに同意する。
「ショートスラントネックにすることで、パターは“L字っぽく”なるんです。ホワイト ホット プロ#3の場合、形状的にはブレードタイプですが、操作性はブレードタイプの代名詞である、クランクネックのピン(アンサー)型より高い。操作性が高いと、パターでのアプローチや、傾斜のかかるロングパットなど、とくにマレット型だと難しい状況で威力を発揮するんです」(中井)
グリーン外からパターを使ってのアプローチ。大きな傾斜がかかるロングパット。どちらもオーガスタでは絶対に打つ必要があるパットだ。それが、ショートスラントだとやりやすいのだという。
「昨年のガルシアは、大型マレットにショートスラントネックのスパイダー・ツアーレッドで勝ちましたが、これも大型マレットの寛容性に、L字的やさしさを加えたモデルでした」と中井。昨年は「ショートスラントネック×マレット」の組み合わせ、今年は「ショートスラントネック×ブレード」が勝利したということで、この結果は使用者の球筋と相関があるという。
「ガルシアはフェードヒッター。リードはドローヒッターです。そして、大型マレットはストローク中に開閉が起こりにくいことから、ガルシア、ダスティン・ジョンソンなどスウィング中にフェースを大きく開閉させたくないフェードヒッターと相性が良く、ブレードは開閉が自然に起こることからスウィング中にフェースを開閉したいドローヒッターと相性がいい。自分の球筋に合わせてパターを選んだ選手が勝っているんです」(中井)
勝利は逃したが、最終日最終組でプレーしたロリー・マキロイもショートスラントネックでブレードタイプのパターを使用していた。4位で終えたジョン・ラームはガルシアと同じスパイダーで、上位に入った選手の多くがショートスラントネックのパターを採用していたのは興味深い。
トップ選手の間のムーブメントは、ときにすべてのゴルファーに影響を及ぼす。ショートスラントネックのパター、ブームになるかも!?