2018年の国内男子ツアー開幕戦「東建ホームメイトカップ」で初優勝を挙げた重永亜斗夢。石川遼、片山晋呉というビッグネームに追い立てられながらも、最後まで攻める姿勢を貫いた重永のスウィングを分析した。
コンパクトなトップで捻転差を作る
開幕戦でツアー初優勝の大仕事をやってのけた重永選手。データを見ると、バーディ率が全体の1位と、見ていて気持ちのいい“攻めのゴルフ”が印象的でした。
そんな重永選手のスウィングの最大の特徴は、トップが非常にコンパクトなことです。トップの大きさというと、シャフトが地面と平行になるくらいが一般的ですが、彼は地面と平行になる前、時計の文字盤の1時と2時の間くらいで切り返しているんです。
いわば、バックスウィングが完了してから切り返すのではなく、バックスウィングの途中で切り返していくイメージ。そのことにより、写真1の右のコマのように、切り返しが始まったときには下半身はすでに大きく動き、上半身との強烈な捻転差が生じています。これが、飛距離のベースにあります。
インパクトで前傾角度が深くなる
写真2では、重永選手の帽子の向きに注目してみてください。しっかりとビハインド・ザ・ボールになっているのと同時に、正面から頭頂部が見えるくらい、前傾が深くなっているのがわかります。写真1と見比べると、まるでお辞儀をしているようにさえ見えます。
これはコンパクトなトップで作った大きな捻転差を開放する際に、前傾姿勢がキープできています。また、インパクト直前のクラブの位置(写真2左のコマ)に注目してみると、ボールの下側からヘッドが入っていることがわかります。アッパーブローでボールをとらえることで、高弾道かつ低スピンで飛ばしているわけです。
全身をフルに使って効率よく飛ばしている重永選手。男子ツアーの中でも細くて華奢な彼ですが、それを補って余りあるスウィングが彼の飛ばしの仕組みです。29歳とまだ若い重永選手。2勝目、3勝目に期待したいですね。
写真/岡沢裕行