先日開催された「RBCヘリテイジ」で日本人史上5人目のPGA(米男子)ツアー優勝を果たした小平智。ツアーに常駐せず、スポット参戦での優勝は初の快挙だ。小平はなぜPGAツアー、それも難しいとされるスポット参戦で勝つことができたのか。プロゴルファー・佐藤信人に聞いた。

「トップ10に入って来週もPGAツアーに出る」という確固たる目標があった

スポット参戦での勝利は難しいとされてきた中、優勝を飾った小平智。もちろん調子もよかったと思いますが、マスターズを4日間戦い抜いたという経験で自信をつけたのが大きいと思います。

RBCヘリテージでの小平は、ショットが安定していて、パットもよく入っていました。オーガスタでの周囲がスター選手ばかりという状況と比べれば、今週は「この人だれだろう」という人も多かった。もちろん気は楽ですよね、いい意味で緊張がほぐれていたと言えます。

コースも日本にもありそうな林間コースで小平向きだったと思います。過去の勝者の顔ぶれを見てみると、昨年のウェズリー・ブライアンもそうですし、ジム・フューリックやマット・クーチャーといった、飛距離が出るというよりも、真っすぐ打つことに長けたプレーヤーが並んでいます。

なによりも、スポット参戦だからこそ「トップ10に入って来週もトーナメントに出ること」という目標が小平にはしっかりと見えていた。それが今回の優勝につながったのだと思います。

画像: マスターズを戦い抜いた経験は自信につながった(写真は2018年のマスターズ3日目)

マスターズを戦い抜いた経験は自信につながった(写真は2018年のマスターズ3日目)

そしてマスターズの時点で、翌週以降もPGAツアーで戦うために「ワールドランク50位以内」を保持するという心構えが小平にはありました(注:小平のマスターズ参戦時点での世界ランクは48位。マスターズを28位タイで終えたことで世界ランクを46位にあげ、世界ランク50位までに与えられるRBCヘリテージの出場権を得ていた)。

我々も含めてマスターズばかりに目が行きがちですが、ワールドランク50位以内というのはマスターズに参戦するためだけのものじゃないんです。「全米オープン」、「アーノルド・パーマー招待」、「ザ・プレーヤーズ選手権」に「WGCシリーズ」、欧州ツアーの「全英オープン」や「BMW PGA選手権」など、世界ランク50位以内にいることで出場できる試合は、挙げ切れないほどあります。

いま、日本のトップの選手たちは欧州ツアーにも挑戦していますが、若い選手たちもどんどん海外に出てもまれてほしいと思います。日本人選手が活躍する姿は見ていてワクワクしますし、とくに若い選手にとっては、成功でも失敗でも糧になります。出場できる海外ツアーにはどんどん出ていくということをやっていけば、すごいことが起きると思います。

毎週日本の慣れたところでプレーするのではなく、芝も風も初めてのコースでシビアな中でツアーを戦うことでいろんなものが磨かれていく。私自身も全英オープンに出場したときに実力不足を感じました。習うより慣れろと言いますが、普段からそういうツアーに身を置くことでレベルアップにつながると思います。

談/佐藤信人 撮影/姉崎正


This article is a sponsored article by
''.