「パットビュー」はプロジェクターでボールの軌道を可視化するシステムを使ったパット練習のための装置。その開発チームの技術者、クリストフ・プレギザによると、パットに大切なことは3つあるという。それって一体!?

直線的に狙うか、曲線的に狙うか、それが問題だった!

「1つ目はラインを読むことです。グリーン上の傾斜によってボールの軌道は変化するので、どのような軌道を描くか、それを読むことが重要なんです」(クリストフ・プレギザ、以下同)

パッティングの練習は、コースのグリーン上ではなく、練習マットなどを用いて平坦な場所で行うことが多い。しかし、コースのグリーンには完全に平坦な場所などほぼ存在しないと言っていい。ボールの軌道は否が応でも変えられてしまうものだからこそ、どれくらい曲がるかのラインを読む力がパッティングには必要になってくる。

とはいえ、パットする上でラインを読むことが大事なのは当たり前極まる話。そのことを前提に、大切なことの2つ目は「狙う場所を定めること」だという。プレギザは、パッティングのタイプは大きく分けて2つあるという。

「パッティングでは、カップをリニア(直線的)に狙う人とノンリニア(曲線的)に狙う人の2種類がいます。どちらのタイプかによって狙う場所は変わり、それに伴ってスタンスの向きやボールの軌道も変化します」

画像: ツアー屈指のパット巧者・鈴木愛は、リニア(直線的)にカップを狙っているように見える

ツアー屈指のパット巧者・鈴木愛は、リニア(直線的)にカップを狙っているように見える

たとえば左から右に傾斜のあるスライスライン。リニアに狙う人ならばスライスすることを見越して実際のカップより左に設定した仮想のターゲットに向けて真っすぐ打ち出す。一方でノンリニアに狙う人の場合はボールの転がる軌跡を描くイメージを持っているので、リニアに狙う人よりやや左に打ち出し、曲線を描きながらカップインを目指す。

つまり狙いがリニアか、ノンリニアかによって、狙うべきラインが最初から異なるということだ。どちらも場合も傾斜の影響を受けてスライスしてカップに向かうが、イメージが変われば狙うべきラインも変わってくるのだ。

「3つ目はボールスピードの作り方です。まったく同じ場所から同じカップに狙いをつけて打ち出したとしても、スピードが変われば当然ボールの軌道も変わります。なぜならボールの速度の違いで芝や傾斜の影響をどれだけ受けるかが変わり、それに伴ってラインも変化するからです」

画像: パットビューは、プロジェクターを用いて室内グリーン上にパットのラインやボールが転がるスピードを投影するシステム。それをなぞるように打つだけで感覚的にパッティングのキモを学べるという

パットビューは、プロジェクターを用いて室内グリーン上にパットのラインやボールが転がるスピードを投影するシステム。それをなぞるように打つだけで感覚的にパッティングのキモを学べるという

スピードのイメージはカップまでの距離をジャストタッチで打つのか、50センチ程度オーバーさせる距離感で打つのか、鈴木愛のようにカップを1メートル以上オーバーさせるような距離感で打つのか。それによってボールの曲がり幅は変わってくる。

自分はどれくらいのスピードで打つか、イメージは直線的か、曲線的かがわかって、初めてラインを“作り出す”ことができるのだ。単純にタッチとラインだけを考える場合との違いがここにある。最新のシステムを支えるこの考え方、次のラウンドで試してみてはどうだろうか?

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