ドライバーの飛距離といえばゴルファーの永遠のテーマだが、ココ一番飛ばしたいときは「遠投のイメージで振るといいですよ」というのは、多くのアマチュアを指導してきた増田哲仁プロ。著書「ネジらない! から遠くへ飛ぶ、ピンに寄る。」から今日イチが出せるスウィング法をご紹介。

ドライバーの今日イチは「遠投」のイメージで

――飛距離がどうしても伸びません。トレーニングをしたり、スウィングを改造したり、挙句はドライバーをとっかえひっかえしていますが、ここ数年、ほとんど変わらない。というより、加齢のぶんだけ、年々、落ちています。若者たちのように振りたいのですが。

それは飛ばしに対する基本的な考え方が間違っているんです。私はよく野球にたとえるのですが、飛ばしは「遠投」のイメージであって、決してピッチャーが「速球を投げる」イメージではないのです。

――腕を速く振って、スピードボールを出すのではなく、体をゆっくり大きく使って体重の移動を利用してボールを遠くまで投げるということですか。

そうです。距離を出したいのなら、腕を速く振ってヘッドスピード(ボール初速)を上げようとすることよりも、体をゆっくり大きく使うことを考えなければなりません。飛ばしたいときには、どんなアドレスをとりますか?

――スタンスを広くして、下半身をどっしり構える……。

私の考えはまったく逆です。飛ばしたいと思ったら、どっしり構えて重心を低くするのではなく、逆に重心をできるだけ高くして、大きく動きやすくするんです。たとえば相撲のように押されてもビクともしない構えは、体を大きく動かすのではなく止める(踏ん張る)ための構えです。遠投のときに、こんなウェートシフトのしづらい、動きづらい構えをする人はいません。さらに重心を下げてどっしり構えるほど下半身が固定されて、腕力に頼ったスウィングになりやすいんです。

画像: 重心を高くして遠投をするイメージを持とう!

重心を高くして遠投をするイメージを持とう!

――重心を高く構えると、なぜ飛距離が伸びるのでしょうか。

重心を高くするとウェートシフトしやすいから、体がスムーズに回転するんです。そして、体が回転する速度を速めてやることが、即、飛距離アップに結びつくのです。その手本がハンマー投げの選手です。彼らがハンマーを回し始める直前の重心はとても高いですよ。

――なるほど、確かに重心を高くすると、体はそれだけ回転しやすくなります。では、重心を高く構えるにはどうしたらいいでしょうか。

アドレスではかかとが浮くぐらい、つま先寄りに体重をかけて立つことが必要です。また、グリップを体に近づけることも大事な要素です。たとえば、フィギュアスケートの選手がスピンをするときも、広げた手を体に引き寄せることで、回転速度を増していきますよね。あれは手を体に引き寄せることで、「体の慣性モーメント(回りにくさ)」を小さくし、より回転しやすくしているんです。

そして何よりも普段から重心を高く保つ意識を持つことです。歩くときも、常に重心を高くするクセをつけるんです。重心を高く保ちながら歩くコツは、地面と足の接地時間を短くすること。地面と足の接地時間が長いと、その間に重心は下に落ちてしまいます。足を踏み出したときに足裏でべったり着地するのではなく、かかと側から着地すれば、「かかと→つま先」の体重移動がスムーズに進み、接地時間は短くなります。

――体の回転をスムーズに、速くするにはどうしたらいいんですか。

それも歩く動作のイメージをつかむことができます。通常は手と足が交互に動きますが、ゴルフでは右足と右手、左足と左手が一緒に出るような動きが必要。体の右サイドなら右サイド、左サイドなら左サイドを一体にして動かすと、素早く体を入れ替えることができるんです。試しに、右のひらを右足の太ももに、左手のひらを左足の太ももにつけた状態で、一体化して歩いてみてください。このように体の左右を同時に入れ替えて歩く感覚が、スウィングの動きに非常に近いんです。

――江戸時代の飛脚が行っていたという「ナンバ走り」の要領ですね。

体をねじらないと、スムーズに体の左右が入れ替えられます。エネルギーロスも少ないですから、飛脚など長距離ランナーには、もってこいの走法だったんでしょうね。

「ネジらない!から遠くへ飛ぶ、ピンに寄る」(ゴルフダイジェスト新書)より

写真/有原裕晶

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