正確性が重要なショットメーカー向きのコース
USオープン最終地区予選が無事全て終わり、今年のUSオープン出場者がほぼ決まりました。まだラストチャンスがわずかに残されていて、今週の試合が終わった後のワールドランキング60位以内は出場権を得ることが出来ます。
フェデックス・セントジュード・クラシックはちょうど60年前の1958年にメンフィスオープンという大会名で始まり、今年で61回目を迎えます。
第1回大会はビリー・マックスウェルが地元メンフィスのスーパースター、ケリー・ミドルコフを1打差で退け優勝しました。
ケリー・ミドルコフは歯医者からプロゴルファーに転身した異色の選手で、PGA(米男子)ツアーで40勝を挙げ、メジャーでも3勝(マスターズ1回、USオープン2回)した選手で第1回大会は惜しくも敗れましたが、第4回大会で優勝しています。現在の会場であるTPCサウスウィンドのクラブハウス前にはミドルコフの銅像が立っています。
これまでPGAツアーでは50台のスコアが9回出ていますが、記念すべき初の50台のスコアは1977年のこの大会で生まれました。会場は現在とは異なるコロニアル・カントリークラブで、アル・ガイバーガーがセカンドラウンドで59を叩き出し、そしてPGAツアー10勝目を飾りました。
会場のTPCサウスウィンドはショットリンク(注:PGAツアーの記録システム)が導入された2003年以降で池に入ったボールの数が圧倒的にナンバーワンです。ウォーターハザードは10個あり、バンカーも94個と多く、またグリーンは平均よりもかなり小さめで、パー5が二つしかないパー70ということで正確性が重要なショットメーカー向きのコースと言えます。
優勝候補筆頭は今週のPGAツアー公式サイトのパワーランキング(注:優勝予想)でも1位になってますが、ブルックス・ケプカです。5年連続出場になりますが、過去4回予選落ちはなく、15年は3位タイ、16年は2位タイと相性も良く、今季はケガで4カ月近く戦列を離れましたが、復帰後は順調で成績も出るたび上がっていて直近のフォートワース・インビテーショナルでは2位に入り好調です。
次にフィル・ミケルソン。来週USオープンでキャリアグランドスラム達成に挑みますが、13年以降はUSオープン前はこの大会に出るというスケジュールを変えていません。13年は2位タイ、15年は3位タイ、16年は2位タイと非常に相性が良く、昨年は娘さんの卒業式と重なってしまいUSオープンは不参加でしたが、今年は春に優勝もあり万全の状態で挑めます。先週のメモリアルでは最終日68で13位タイに食い込みまた良い流れに持ってきた感じがします。
その他先週メモリアルで6位タイに入り、早くもスペシャル・テンポラリーメンバー(注:一定の条件を満たすことで、以降のPGAツアーに出場できる)を獲得したチリの19歳ホアキン・ニーマン。プロデビューして5戦で3回のトップ10と昨年のジョン・ラームを凌ぐ勢いです。
それからこれがプロデビュー戦になるグアム出身でこちらも19歳のノーマン・ション。今年のジャック・ニクラウス賞(注:全米最優秀学生ゴルファー)受賞者でオレゴン大学を中退してこれからプロの道を進むことになります。
そしてミシシッピ大学3年生でワールドアマチュアランキング2位のブレイデン・ソーンベリー。昨年この大会で4位タイに入りました。月曜日のUSオープン最終予選も突破して勢いがあります。
こういった若手たちの活躍にも期待したいと思います。