「ニチレイレディス」で鈴木愛、テレサ・ルー、シン・ジエといったツアー最強クラスの選手たちを相手に、最後まで堂々と優勝争いを繰り広げたツアールーキーの松田鈴英(れい)。とくに注目なのが、飛ばし屋テレサをも上回ったその飛距離。細身の体で飛ばせる秘訣を、プロゴルファー・中村修が解説。

松田鈴英選手のゴルフの魅力はその飛距離にあります。ニチレイレディスでは比嘉真美子選手、葭葉ルミ選手に次いで平均飛距離261.833ヤードと全体の3位。さらにパーオン率も1位と飛距離とアイアンのキレの両方が素晴らしかったことがわかります。

飛距離、方向性、そして切れ味を兼ね備えたスウィングを、じっくりと見ていきましょう。

正面から見ると、手首を親指側に折ってクラブを立てるコックの動きを入れるのが早い、いわゆるアーリーコックであることがわかります。アーリーコックの選手の多くがそうであるように、シャフトの傾きが地面と平行までいかないコンパクトなトップが特徴です。

このことからもわかるように、トップの大きさと飛距離には強い相関関係がありません。松田選手の飛距離を生み出しているのが、筋肉をねじり上げるように使う動きです。バックスウィングで右ひざを不動にしながら、腕とクラブを高い位置に上げることで、筋肉が斜め上方向にねじるように引っ張られることで、コンパクトながら、十分に飛ばしのエネルギーが蓄えられています。

このとき、頭の高さがまったく変わらないのがポイント。これは、前傾角度が崩れていないことを表し、かなり下半身が強くないと、このようなトップは作れません。日頃から、しっかりとトレーニングを積んでいるのでしょう。

画像: コックを早い段階で使い縦に上げるアップライトでコンパクトなバックスウィング(写真/2018年のワールドレディスサロンパスカップ、撮影/姉崎正)

コックを早い段階で使い縦に上げるアップライトでコンパクトなバックスウィング(写真/2018年のワールドレディスサロンパスカップ、撮影/姉崎正)

そして注目すべきポイントはバックスウィングで溜めたエネルギーをロスなくボールに伝えるインパクトです。写真2を見てみるとドライバーであってもしっかりとハンドファーストの状態で、ターゲット方向にフェース面を押し込むようにボールをとらえていることがわかります。

そして、フェースの向きはターゲット方向に押し込むように長いインパクトゾーン。方向性と飛距離を両立させたインパクトです。これは下半身だけでなく腹筋を中心とした体幹部が強く、しっかりと回転で打てている証拠です。

このとき、上半身は開かずに下半身でクラブを押し込んでいる点に注目してください。写真1と比べても頭の位置は変わらず、上半身が開かないまま、下半身だけがターゲット方向を向いています。

画像: ハンドファーストで長いインパクトゾーンにより方向性と飛距離を両立している(写真/2018年のワールドレディスサロンパスカップ、撮影/姉崎正)

ハンドファーストで長いインパクトゾーンにより方向性と飛距離を両立している(写真/2018年のワールドレディスサロンパスカップ、撮影/姉崎正)

松田選手のようなインパクトを迎えようと思ったら、意識するポイントはおへそです。腕とクラブで形を真似してもダメ。バックスウィングで飛球線後方に向いたおへその向きを、お腹を引っ込めるようにしながらフォローに向けて回転させるんです。正直、簡単ではありません(笑)。ですが、手でクラブを動かさず、おへそで動かす。その意識は持ってもらって損はないと思います。

開幕戦の「ダイキンオーキッドレディス」で取材した際は、初々しさとワクワク感があふれていましたが、「ニチレイ」の練習日に見た松田鈴英はアプローチ練習場でも練習グリーンでも集中してしっかりと課題をもって練習しているような姿が印象的でした。

本格参戦1年目の松田選手。ツアーで過ごした3カ月間で、ショットの精度に一枚磨きをかけて成長してきました。アプローチとパッティングの精度と技術の向上が、初優勝へのカギとなるでしょう。

トップと1打差の単独4位で終え480万円を獲得し、来週の「アースモンダミンカップ」終了後に出場資格が入れ替えられるリランキングで暫定11位に駆け上がった松田選手。さらなる活躍に期待です。

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