やっぱり、タイガー・ウッズはすごかった
タイガー・ウッズがツアーに復帰してから約半年。いまだ勝ち星はついていないものの、先週行われた自身主催の大会「クイッケン・ローンズ・ナショナル」では4位タイにつけるなど、着実に復活の機運は高まっている。
そんなタイガーが復帰以降バッグに入れているドライバーは、クラブ契約を結んでいるテーラーメイドの「M3 460」。アジャスタブル機能が搭載されたカスタマイズ性の高いモデルだが、タイガーはそれに加えて“とある工夫”を施しているという。それが、ソールのウェイトにかませてある「木片」だ。
関係者によれば、打感を良くするために意図的に入れているとのこと。では、この木片がある場合とない場合で、打感はどの程度変化するのだろうか。タイガーと同じ「M3 460」をニュー南総ゴルフ倶楽部に持ち込み、プロゴルファー・中村修に「木片アリ・ナシ」の感触を確かめてもらった。
まずは木片なしの状態で一発。カシューン! と球離れの早い低スピン弾道を予感させる鋭い打球音が林間に響く。手に伝わる打感は軟らかめで、心地よい。
さて、では木片を入れてどうなるか。タイガーが実際にどのような木片を使ったかまではわからなかったので、鉛筆を削った木屑で代用。これをM3のソールに配されたウェートに良く噛ませて、もう1球。カシューン! と、これまたナイスショットしたが……?
「正直に言って、感触はこれだけではそんなに変わったとまでは感じなかったですね。もう一つのウェートにもしっかり木片を入れるとか、徹底的に緩衝材になるような感じで入れると多少変わるかもしれませんが……」(中村)
と、プロゴルファーでも違いを判別しきれない、という結果になった。とはいえ、異物を挟んでいる以上、まったく変化がないということもないはず。後日、録音したものをPC上で細かく検証してみたところ、インパクト時の音の波形に違いを発見した。
実際に耳で打球音を聞くと差異はないように感じられるが、実際は木片アリのほうが、ナシの場合よりも音の響きがごくわずかに小さくなっていることがわかる。この音の振動の違いが打感に影響を与えている、ということだろうか。しかし、それにしてもあくまで“ほんの少し”、あるかないかの違いだ。
機械を通さないと判別できないような微細な違いを手で、耳で感じ取っているタイガー……改めてその凄さを感じる検証結果となった。