ゴルファーの誰もが憧れたタイガー・ウッズ。近年はケガに悩まされ思うような活躍ができないでいたが、今年は体の状態も良好のようで完全復活間近の雰囲気が漂う。
「タイガーの大きなスウィング変化は、5段階目を迎えています。現在“OS5.0”ですが、左ひざのケガをした“ビフォー・アフター”でスウィングは大きく変わりました。それを象徴する部分として、インパクトからフォローにかけての左足があります。以前は、左のつま先がめくれずに体重を受け止めていたのですが、ケガ以降はつま先がめくれて、衝撃を少し逃がすような形になっています。逃がすことでひざへの負担を軽減していますが、そのぶんインパクトの瞬間に受け止めるエネルギー量は減ってしまう。そこで回転スピードを速くすることで、飛距離をカバーしています。それが“腕が曲がったフォロー”でわかり、これこそアマチュアの皆さんが真似るべきところなんです」
フォローで腕を大きく伸ばしたほうが飛ぶと思っているゴルファーは多い。しかし、これはあくまでも結果として“伸びちゃっているだけ”と浦コーチは表現する。
「腕が伸びきった状態よりも、少し曲がっているほうが力は入るんです。フォローのサイズを小さくすることで、速度が上がるというわけです。大きなフォローやフィニッシュをとろうとせず、腕を早めにたたんでコンパクトにすること。これは決して筋肉隆々ではない、アマチュアが真似るべきポイントです」
腕を早めにたたむことでヘッドは走る。ボールもつかまりやすくなるだろう。
逆に、タイガーだからできること、真似してはならないポイントもある。それが“切り返しからダウン”の動きだという。
「ダウンに入る切り返しの沈み込みは、ケガをする以前とまったく変わっていません。沈み込む動きをすると、体のどこかで体重を受け止めないといけないわけですが、タイガーの場合は太ももの筋肉(大腿四頭筋、大腿筋膜張筋)で受け止めています。実はコレ、普通では考えられません」
ひざが割れないように股関節で受け止めるのが通例とされているが、タイガーは太ももの筋肉で受け止める。これは常人ではないフィジカルが必要で、絶対に真似をしてはいけない部分だと浦コーチは言う。
というわけで、真似すべきはスウィング改造後の「(以前に比べて)コンパクトなフォロー」にあった。一見、憧れるだけの存在に見えるタイガーのスウィングにも見習うべき点はある。飛距離アップにもつながる“早めのたたみ”是非、試してみよう。
撮影/姉崎正