シャフトが折れたら一人前!? 握力40キロ台のボクでもよくやるよ!
また、やっちまった! いったい何度目だろう……。でも故意じゃないので、反省のしようがない。きっと、来年も繰り返すけど……。
僕はよくドライバーのシャフトを折ってしまう。人呼んで“シャフト破壊王”。飛ばし屋と呼ばれるようになってからのあだ名だ。
ミスショットしてクラブを地面に叩きつけたんだろうって? ブブー。“雑巾”といえども一応、王子だし、そんな野蛮なことはしない。んじゃ、ダフって折れたんじゃないかって? それもブブー。会心の当たりをブチかましたときのみ、折れるんだわ。それもグリップの中で。
先日、あるゴルフイベントに呼ばれ、アトラクションで300ヤードのパー4をワンオンさせるという大役を仰せつかった。え、300ヤードでいいんか?
鼻歌まじりで指定ホールに向かった。が、その日はまさかの大アゲンスト。楽勝どころか、かなり本気を出しても届かなかった。ヤバイ、これじゃ、せっかく僕の飛ばしを楽しみにしてくれたお客さんをガッカリさせることになる。なんとしてでも、届かせないと。
気合を入れ直し「うおおおおぉぉぉぉー!」と雄叫びを上げて振ってみた。よっしゃ、成功。なんとかオンさせることができた。
実は、叫びながら打つのは飛ばしに絶大な効果をもたらすんだ。大声を出すときって、腹筋を使うでしょ。それがボールに伝わってパワーが生まれるんだよ。
調子に乗って、吠えまくっていたら、“バキッ”。鈍い音とともに、シャフトが折れた感触が手に伝わってきた。
僕は右手でクラブを振り、左手で球を打つイメージで飛ばしている。その交点がインパクト。つまり、右手のチカラと、左手のチカラがスイッチする場所。左手は右手のチカラを受け止めるべく、カラダの正面で耐えなければいけない。それが僕がよく言う飛ばしの“ストッパー”ね。
右手のチカラを左手でうまく止められたとき、“でら”ヘッドが走って、球がブッ飛ぶという原理。グリップ内でシャフトが折れるのは、その衝撃のせい。きっと満身のチカラを込め、意図的にヘシ折ろうと思っても無理。
わかりやすくたとえると……、わざとコケてもケガしないけど、不意に段差や石につまずくとすっごい派手にコケて、ひざを擦り剥いたりするじゃない。それと同じ。ケガをするのは、段差や石がストッパーになって、思わぬチカラでカラダが吹っ飛ぶからなんだ。
ちなみに、ストッパーを効率よく使うには、やっぱり左手の握力が必要。でも右利きの人は、きっと右手のほうが強いでしょ。だから、左手が負けてしまって、うまくストッパーが使えないんだ。僕は両利きのせいもあるけど、左右の握力はほぼ一緒。たぶん、握力が左右極端に違うプロゴルファーは少ないと思うな。
当然、グリップが滑るなんてことも、絶対にダメ。手とグリップは密着すればするほど、ストッパー効果が高まるからね。
「オレって、こんなに飛んだっけ?」(ゴルフダイジェスト新書)より ※webメディア向けに一部改変しています
撮影/姉崎正