翌年のツアー出場優先順位を決めるQT(クオリファイング・トーナメント=予選会)で117位。ほぼ推薦出場でしか試合に出られないと言っていい状態で2018年シーズンを迎え、そこから限られたチャンスを生かし続けてリランキング上位となり、後半戦の出場権を掴み取るに至った原。
本来スポット的にしか出られなかったはずのツアーで、今や初優勝が期待される選手の一人に数えられるまでになった現状を、本人はこう分析する。
「(前半戦は)一試合一試合を大事にやってきたんですけど、その中でこうやって大事にやってきたことが後半戦につながる制度に(今年から)なったのは自分としてはありがたかったです。その分、頑張ろうと思います」(原)
昨年までの制度であれば、推薦出場で結果を出して“翌年のシード”につなげる、あるいは優勝してその後のツアーに参加する以外にやりようがなかった。新制度あればこそ、後半戦に出場が可能となったことを、原は素直に感謝する。
「今、調子としてはイマイチなんです。なので、何がいいかと聞かれたら、それはわかりません。(調子の悪さを)気持ちの面でカバーしてきた感じ。気持ちに技術がついてくるようにしたいと思っています」(原)
期待のルーキーはどれだけやれるのか。後半戦、原とタッグを組むキャディの小谷健太は、原の現状と課題を明確に分析している。
「飛距離が出るのは彼女の大きな魅力です。ただ、飛距離が出るからこそ無理やり狙うのではなく、刻んで、3打目勝負でもバーディが取れる、むしろより簡単に取れることを理解してもらおうと思っています。その上で、パットが入れば常にトップ10に入れるポテンシャルを持っています」(小谷)
実力者、キム・ハヌルのバッグを長く担いだ経験を持つ小谷は、原の問題はマネジメントにあると指摘する。具体的には「ショートサイドに外すことが多い」という課題を原とは共有しているという。
ショートサイドとは、グリーン上のピンが切ってる側のこと。ピンを狙って外すと、ラフからすぐのピンを狙うことになり、寄せにくい。グリーンの広い側を狙えば乗せること自体は格段にラクになり、ベタピンの確率は減ったとしても、ボギーの危険性を排除しつつ、ワンピン程度のバーディチャンスを増やすことができるようになる。
プロ資格を持っていない原は、7月24日からの最終プロテストへも挑まなければいけない。「その前に優勝すれば(優勝者はプロテストが免除になるため)ラクなんですが……」(小谷)。
実力者がひしめく女子ツアーで新人が優勝するのは決してラクなことではない。しかし、ラクでないハードルを飛び越えてくれそうな期待感を見ている者に与えてくれる、それが原の魅力なのも、また事実。プロテストまで、チャンスは今週と来週、2回残されている。