
今シーズン、米下部ツアーのエプソンツアーに参戦する原英莉花
ジャンボの誕生日会で原が明かした参戦理由

「ジャンボ尾崎ゴルフアカデミーセレクション supported by ISPSHANDA」(2月9日)で選考会の試験官をつとめた飯合肇、尾崎健夫、尾崎直道、金子柱憲の4人(撮影/姉崎正)
「ジャンボ尾崎ゴルフアカデミーセレクション supported by ISPSHANDA」(2月9日)で選考会の試験官をつとめた、尾崎健夫、尾崎直道、飯合肇、金子柱憲の4人。今年1月24日、ジャンボ尾崎の78歳の誕生日会で、原英莉花と話しをしたという。
飯合は「英莉花とはちょっと話したんだけど、自分のなかのゴルフがちょっと頼りなくなったんだって。自分が飛ばして有利に立ってきたゴルフと違って、気が付いたらフェアウェイに打ちいくゴルフになってしまったから、自分で思い切って(ゴルフを)変えてみたいって」と,、思い切りのいいゴルフを取り戻すために下部ツアーに行くことを決めたと話す。
「自分のゴルフを見つめ直すって感じだった」という尾崎健夫は「30(歳)になって世界一にならなきゃ、その(挑戦する)甲斐はないよ」と原を応援。
また、飯合は「自分が思ったように成績が出ない。他のみんなは飛ばして(成績が)出る。自分はもう少し見つめ直さなきゃいけないときに、アメリカツアーのテストを受けて、一昨年は失格で、昨年は失敗。その結果、下部からでもやってやろうという気持ちったんじゃないかな。それと、フェアウェイに打ちたいゴルフになってしまったっていうのがゴルフの一番の欠点だった。一番飛距離が出ていて成績が良くなった子が、自分より飛ばなかった子が前に行くようになったり、そういうのって、選手はやっぱり傷つくわけだよ。アメリカだったら自分だけのことになる。こっちにいるとライバルってのがあるじゃない。そのライバル心がアメリカだったら、ないで済むんで、下部を選んだんじゃないかと、僕は思った」と、原の決断理由を代弁した。
過酷な下部ツアーに覚悟の参戦
原は日本女子オープン2勝、リコーカップ1勝とメジャー3勝を誇る日本の女子ツアーを代表する実力者。飯合は、日本よりアメリカの下部ツアーを選択した原の現在の"立ち位置"についても付け加える。
「だから逃げ道じゃないのよ。厳しいところに行ったの。女子(ツアー)は勝った試合の据え置きをしてくれて、(アメリカから日本に)帰ってそこから2年なら2年出られるらしい。そういうのがあるから、それはいいねって。だからジェットも30歳になったときにどんな結果になるか楽しみにしてやろうってね」
飯合が言う「勝った試合の据え置き」とは、原が2025年の単年シード権を放棄した日本女子ツアーの制度について。昨年のメルセデスランキングで24位に入り、今季のシードを保持したが、それを放棄。来年以降は、20年の日本女子オープン&リコーカップ優勝で年間メジャー2勝による5年シードや23年の日本女子オープン優勝による3年シードを行使すれば、また日本ツアーにシード選手として復帰できる制度だ。
この制度を利用して日本ツアーを離れて下部ツアーに専念するという意思表示こそ、原の決意の表明でもある。ただ、レジェンドたちはみな、今年2月1日に26歳になった原の意思を尊重するものの、過酷な下部ツアーについても心配する。そんなエプソンツアーとは、どんなツアーなのか?
昨年の下部ツアーで教え子を帯同をしたツアーコーチの奥嶋誠昭プロは以前、週刊ゴルフダイジェストの取材で「(ある大会は)コースによって地面の硬さは違いますし、標高もまちまちで、週によって飛距離が全然違うようです。芝の種類も変わりますし、対応するのはなかなか難しそうですね」と、環境の過酷さを第一に上げた。
また、「日本のステップ・アップ・ツアーと同じくらいかと思っていましたが、全然違いました。USLPGAに行くには、基本的にエプソンツアーかQTしかないので、世界のツアーで活躍している選手がLPGAへの道を目指してやって来ます。さらにLPGAから下りてきた選手もいっぱいいますから」と、選手層の厚さが拡大し、ツアーのレベルが高くなっている事情を話していた。
今季のUSLPGAツアーの賞金総額が1億3100万ドル(33試合)に対してエプソンツアーは500万ドル(20試合)と、賞金の規模は26分の1程度。
お金より強くなる場所を求めて、過酷な下部ツアーを舞台を選んだ原。“思い切りのいいゴルフを取り戻したい”という想いを胸に、エプソンツアー初戦「セントラルフロリダ選手権」(2月28日~3月2日・25万ドル)からスタートを切る。