トッププレーヤー合わせのドライバー開発が終焉。プロアマの垣根がない“ボーダーレスモデル”時代に。
2018年も折り返し点を過ぎた。ここで今年の売れ筋ドライバーの傾向についておさらいをしておこう。
まず、予想通り安定した売り上げを記録したのが、ダンロップの「ゼクシオテン」ドライバーだ。超軽量ドライバーのパイオニアとして、50代以上のターゲットユーザーだけでなく、若手女子プロ選手からの高い支持を獲得した。
キャロウェイの「ローグ スター」ドライバーも高打ち出しが際立った設計を施し、「GBBエピック」とは別層の支持を獲得。ドライバーだけでなく、上がりやすいFWシリーズも、打てる3W! と女子プロたちから大注目を集めた。
PGA(米男子)ツアーでは、テーラーメイドのツイストフェースドライバー「M3/M4」が躍進。とくにウェート可変機能のない「M4」が予想以上に多くの支持を獲得。男子のトップアスリートでも、慣性モーメントの大きいフルサイズ(460cc)ヘッドを違和感なく使う時代であることを印象づけた。こうした流れはここ数年、テーラーメイドの「M2」ドライバー、PINGの「Gシリーズ」が作ってきた大きなうねりである。
かつて、こうしたプロツアーで高い使用率を示すドライバーは、我々アマチュアが使うにはかなりハードルが高く、難しいイメージがあったものだが、今はそうしたプロモデル/アマモデルといった開発上の垣根は全くなくなったと言っても過言ではない。
簡単にいえば、もともとアマチュアをターゲットに進化してきたドライバーを、プロが躊躇なく使う時代になってしまったのだ。まさに“ボーダーレス”。プロと同じヘッドを選んでもいい時代になったといえるだろう。
ゼクシオで培った反発技術を応用!? スリクソンもいよいよ“ボーダーレス”化!
この傾向、おそらく2018年下半期も加速する。東京ではちょうどスリクソンの新製品受注会が行われているが、そこに並んでいた9月22日発売予定の「スリクソンZ85」シリーズのドライバーを見て驚いた。なんとそのキーテクノロジーとして、ゼクシオ開発で培ったカップフェース技術が取り入れられていたからだ。ダンロップの解説によれば、このカップフェースはゼクシオの6代目〜10代目(現モデル)に採用されたもっとも進化したカップフェース構造であり、これによってフェースの高反発エリアが176%拡大。飛び性能とミスヒットへの寛容性を大きく高めているという。
「スリクソン」といえば松山英樹の使用を念頭において、ハードヒッター向けドライバーを作っていたイメージが強いが、今回の「Z85」シリーズからはそうしたハードな印象は一切感じられなかった。プロ専用ではなくアマも使えるやさしいドライバーとして作り、それをプロが使えるかどうかを問う。今までのスリクソンがとってきたアプローチとは逆の開発スタイルが見える出来栄えだった。
ドライバーヘッドは、まさに“ボーダーレス”の時代である。プロが使っているからといって臆することなく試打してみれば、なるほど十分に使えるモデルが多いことに気づくはず。ちなみにロフト選びは10.5度以上のモデルから。シャフトは50グラム台で硬め、できるなら硬さXからS、Rと順に試してみると、心地よくボールが飛ぶスペックを見つけやすいはずである。