「明日いいきっかけをつかめれば面白いと思います。でもその可能性は今のところ低いです」
現地の火曜日、囲み取材で松山英樹選手はこう言いました。先週のスコティッシュオープンで予選落ちを喫し、谷原秀人、宮里優作両選手とプレーした月曜日の練習ラウンドを見ても、本人が言うように調子がいいようには感じられませんでした。ティショットの精度も、グリーンを狙うショットにも本来の精彩を欠いていたからです。
ただ、本人の言葉とは裏腹に、「いいきっかけ」をつかむ可能性は決して低くない。この日練習ラウンドに出ず、練習場での打ち込みに時間を割いた松山選手の練習風景を見ていると、そんな風に思えてなりません。
練習場は右からの風が吹いていましたが、その風の影響を見ながら時折、弾道の高さを変えて打ったりと実戦的な練習に取り組んでいた松山選手。5球も打つとクラブを持ち替え、つかみかけたフィーリングを他のクラブでも試すように、何度も何度もクラブを持ち替えては打ち続けていました。
松山選手のスウィングは、トップでクラブがターゲットのやや左を向くレイドオフの位置から、一枚の板の上を滑るようにオンプレーンの軌道を描き、フィニッシュはやや縦に収まるのが特徴ですが、練習を続けて行くうちにどんどんスムーズに、かつ自然とフィニッシュの位置に収まってきているように見えました。
これは、頭で思い描く体やクラブの動きと、実際の動きであり飛んで行く弾道がマッチしてきている証拠だと感じられます。あとはコースでフィーリングを確かめる段階に入ってきているように思います。現在(日本時間7月18日14時現在)は現地の水曜日朝6時ですが、開幕前日の今日はコースへ出るでしょうから、じっくりと感触をたしかめ、本番に臨むことになるはずです。
待ち受けるのは、グリーンに近づくにつれてフェアウェイが狭くなり、グリーンの花道はバンカーやマウンドで遮られ、少しでもラインを外すと反り立つような壁を持つバンカーや、難易度の高いアプローチが待っている難コース・カーヌスティ。
それでも大舞台こそ強さを発揮する松山選手に期待してしまうのは私だけではないはず。風が吹き、難コンディションになっても一人だけ涼しい顔をしてやさしいコースをプレーしているような姿を見られたらいいですね。