全英オープン初日の昨日、1日中コースに出て、様々な選手のプレーをチェックしました。気になった選手は何人かいましたが、中でも目を引いたのは、タイガー・ウッズとロリー・マキロイ、ふたりの主役級プレーヤーでした。
松山英樹選手と同組でプレーした初日、タイガーはティショットでアイアンを多用し、とにかく刻んで、刻んで、刻み倒すプレースタイルでスコアをイーブンパーにまとめてきました。午後3時過ぎのスタートでしたが、午前に比べてコンディションの難しい状況でのイーブンパーは、午前スタートの3アンダー、4アンダーに相当する好プレー。
印象的だったのは、ティショットで時間をかけて風を読み、どんな球で攻めるかの戦略をじっくりと練っていた姿です。その結果、クラブを変えたりするんですが、その変えたクラブでいい結果を引き寄せる。タイガーの経験、そしてコースの状況への対応力、さらには選択した戦略を遂行する集中力が、見ているこちらにも伝わってくるようでした。
勝負に対する嗅覚めいたものは、今も健在。絶好調、というわけではなさそうですが、2日目以降もそのプレーを楽しみにしたいと思います。
タイガー的な経験と対応力で言えば、小平智選手とプレーしたフィル・ミケルソンも見逃せません。ドライバーで念入りに素振りを繰り返し、打つかな? と思ったら3番ウッドに持ち替えたりする姿には、「打たないのかよっ!」と思わず心の中でツッコミを入れてしまいましたが(笑)、持ち替えたスプーンで小平選手のドライバーと同じくらい飛ばしてくるんだから、恐ろしい48歳です。
初日はややおとなしめだったビッグネームたちの中で、強い印象を与えてくれたのが2アンダーでプレーしたロリー・マキロイです。
マキロイは今回いいですよ! そのプレーはタイガーとは好対照で、とにかく刻まない。なんでも、初出場のときの気持ちを思い出して、攻めるゴルフを徹底しているのだとか。実際、今回のコースコンディションは攻めるゴルフと相性がいいんです。
全英というと、ティショットがラフに入ったらおしまい、というイメージがあると思いますが、今回はラフに着弾してもそこから転がってフェアウェイに出てきたりしますから。
他にも、私が見た中でいえばアレックス・ノレン、トミー・フリートウッドといった欧州勢、米国勢ではリッキー・ファウラー、マット・クーチャーらも調子が良さそうでした。
とはいえ、まだまだ初日を見ただけの印象。今日からの残り3日間、ビッグネームたちが巻き返すか、欧州の刺客的選手がワンチャンスをモノにするか……楽しみながらコースを歩きたいと思います。
撮影/姉崎正