2016年の夏にゴルフクラブ、ボール事業から撤退したナイキだが、ゴルフ界における存在感はむしろ高まっているように思えるほどだ。フットウェアとアパレル事業に専念するというのが、ゴルフギア事業撤退の理由だが、宣言通り、ナイキのフットウェアとアパレルを着た選手が大活躍を続けている。
マスターズではパトリック・リードが優勝。ナイキはマスターズに17名の契約選手を送り込み、最終日にはオーガスタを象徴する花、マグノリアをイメージした紫のウェアをタイガー・ウッズ以外の選手に着用させた。
続く全米オープンでは、もともとナイキとクラブ契約も結んでいたブルックス・ケプカが連覇を達成。そして閉幕したばかりの全英オープンでは、ナイキの顔であるタイガー・ウッズと優勝者のフランチェスコ・モリナリがナイキのウェアを着て大会を盛り上げた。これで全米プロもナイキの選手が勝てば、四大メジャーすべてを制する、いわば“ナイキスラム”の達成となる。
ゴルファー的に気になるのは、ナイキのウェアを着た選手たちの使っているクラブだが、メジャー勝者3人のもうひとつの共通点がクラブ契約フリー(モリナリはパターのみベティナルディと契約している)であることから、見事にバラバラ。
リードはピンのG400LSTドライバーに、キャロウェイのXフォージドとMB-1アイアンをセット。ケプカはテーラーメイドのM3 460ドライバーに、ミズノのJPX900ツアーアイアン。モリナリはテーラーメイドのM4ドライバーに、アイアンは同社のP790とP750を組み合わせたセットを使うといった具合だ。
ナイキのクラブはと言えば、リードがVRプロの3番ウッド、ケプカがヴェイパーフライプロの3番アイアンをそれぞれバッグに入れているのみ。クラブはバッグからほぼ姿を消したが、スウッシュマークのついたキャップとウェア、そしてシューズを履いた選手たちの活躍は、勢いを増している印象だ。
8月のメジャー最終戦・全米プロも“ナイキの選手”が制するのか!? 注目だ。