痩せてもベタ足打法ならブッ飛びよ!
友人がダイエットに成功した。ヘビメタ(ヘビーなメタボ)だったのに、痩せたらイケメンになっちゃって、なんかムカツクぜ。でも「飛距離が落ちた」って嘆いていた。へへ、ざまーみろー(笑)。
たしかに体重はあるほうが、飛ぶには飛ぶ。でも、コツをつかめばやせっぽちでも飛ばせるんだよ。
実は僕も以前は166センチで72キロあった。当時はアホみたいに食っていたからね。朝から吉野家で朝定と特盛りをWで食べたり、焼肉屋で5人前を食べたあとに「頼んだやつ、最初からもう一回お願いします」と同じメニューを食べたり。もちろん酒もあびるほど飲んでいた。
そのときの飛距離が過去最高。体重をボールにぶつけるようにして打っていたからね。インパクトのときに頭を沈ませながら、下半身を跳ね上げ、上へのチカラと下へのチカラをケンカさせるような形。
でもさー、フッと鏡に映った己の体型を見て我に返った「なんだこのブ男は」って。ウェアの契約も体型を理由に断られたし。そりゃそうだ、アゴのラインがないハンプティダンプティが着たウェアなんて人気出ないもんね。
そこで一念発起! ダイエットを開始した。
1ヵ月後。10キロ痩せた。カラダのキレが増し、クラブを速く振れるので、飛ばせると思いきや……。
結果はチーン。一生懸命振れば振るほど飛距離は落ちる一方。ふざけんなー、苦労して痩せたのに飛ばないなんて。やっぱり飛ばしに体重が必要なのか? と思ってまた太ろうかと思ったが、とりあえず、もとの体重になったらほんとに飛ぶのか検証するため、ダイバーが海に潜る時に使うウェイトを購入。10キロを腰に巻き、クラブを振ってみた。
これがまた瓢箪から駒で、“でら”飛んだ。重くて腰を回転できない、カラダの正面でボールをとらえられるし、ヘッドが異常に走るんだ。そう、いわゆるカラダの一部を止める動き“ストッパー”をかければ、やせっぽちでも飛ばせるんだってわかった。
両方の体型を経験して身にしみたのは、腰の回転では飛ばせないってこと。やせっぽちでもストッパーをかけて手を走らせれば、振り遅れることがなくバシッと強い球が出るってわけよ。
う~ん、この奥義を件の友人に教えたら、僕より確実にモテそうなので、内緒にしとこっと。
「オレって、こんなに飛んだっけ?」(ゴルフダイジェスト新書)より ※一部改変
撮影/姉崎正