ゴルフの歴史には、中止を挟んで4大会連続で全英オープンを制したトム・モリス・ジュニアや、史上ただ一人4大メジャーを同一年に制する年間グランドスラムを達成したボビー・ジョーンズなどの伝説的名手がいて、誰が「最強」かの議論は難しい。
そこで、客観的データとして「PGAツアーの勝利数」「メジャー勝利数」を採用、それを現在のPGAツアーの算出基準でポイント化し、合計ポイントで「歴代最強ゴルファー」を導き出すことにした。ちなみに、メジャー勝利は600ポイント、通常の勝利は500ポイントだ。
まずは10位から6位を見ていこう。
10位 トム・ワトソン 20300ポイント(39勝/メジャー8勝)
9位 フィル・ミケルソン 22000ポイント(43勝/メジャー5勝)
8位 ウォルター・ヘーゲン 23600ポイント(45勝/メジャー11勝)
7位 ビリー・キャスパー 25800ポイント(51勝/メジャー3勝)
6位 バイロン・ネルソン 26500ポイント(52勝/メジャー5勝)
というわけで、当たり前だがレジェンドクラスの名前がズラリ。現役選手としては、フィル・ミケルソンが9位にランクインした。メジャー8勝のトム・ワトソンでも10位だから、いかに凄い選手ばかりかがわかるというもの。
ちなみに現在世界ランク1位のダスティン・ジョンソンはこの基準に当てはめると9600ポイントとなり、歴代トップ10入りのためには、34歳の彼が今現在までの活躍をもう一度繰り返し、そこからさらに何勝かを積み上げる必要がある。いかに歴代トップ10入りが大変なことかがその点からもわかるというもの。
ちなみに、ウォルター・ヘーゲンは初めてアメリカ人として全英オープンに勝ち、プロゴルファーの立場を確立した偉人。ビリー・キャスパーはメジャーこそこのランキングでもっとも少ない3勝で
あるものの、PGAツアーで実に51勝を積み上げた名手。6位のバイロン・ネルソンは1945年に11連勝を含む年間18勝という不滅の大記録を打ち立てている。この怪物たちに次いで9位。ミケルソンって、こんなに凄い選手だったのか……!
続いては、5位から2位だ。
5位 アーノルド・パーマー 31700ポイント(62勝/メジャー7勝)
4位 ベン・ホーガン 32900ポイント(64勝/メジャー9勝)
3位 ジャック・ニクラス 38300ポイント(73勝/メジャー18勝)
2位 タイガー・ウッズ 40900ポイント(79勝/メジャー14勝)
なんと、タイガー・ウッズは惜しくも2位となった。1位とのポイント差は800。あと2勝で「歴代1位」になるというのが今回の調査結果となった。その1位を発表する前に念のため説明しておくと、アーノルド・パーマーは米国におけるゴルフ人気を爆発させたゴルファー、ベン・ホーガンは瀕死の自動車事故に遭いながらも復活し、メジャー9勝を積み上げ“史上最高のボールストライカー”と謳われた名手の中の名手。“帝王”ジャック・ニクラスは20世紀最高のスポーツマンランキングでも上位に顔を出すメジャー最多勝記録(18勝)保持者だ。
さて、では1位は誰か。
1位 サム・スニード 41700ポイント(82勝/メジャー7勝)
というわけで、1位はPGAツアーの最多勝記録(82勝)保持者のサム・スニードという結果となった。メジャー7勝ながら、ついに全米オープンのタイトルに手が届かず、グランドスラマーならぬ“スラマー”と呼ばれた大名手。
“偉大さ”を現在の基準でポイント化すれば、1位はスニード、2位はタイガー、3位はニクラスという結果となった。スニードは既に鬼籍に入り、ニクラスも現役を退いて久しい。大復活を果たしたタイガーが、今後文句なしの“史上最強のゴルファー”となる可能性は、まだまだ残されている。