キーワード/高打ち出し&ロースピンが示す飛ばしの糸口
ドライバーの飛距離を1ヤードでもいいから伸ばしたい。ゴルファーの多くはそう願っていると思う。確かにそれに応えるように、ゴルフ雑誌を見ても、ゴルフ道具の広告を見ても“飛距離アップ!”の文字が溢れんばかり。少なくともここ20年は、明らかに飛ばし偏重のゴルフ界だといえる。
「それにしては、いまいち飛距離が伸びていないぞ」
そう嘆くゴルファーも多いかもしれない。ゴルフクラブもボールも、飛ぶとウワサの最新形を持っているのに。それはなぜなのだろう?
“高初速・高打ち出し・ロースピンで飛ばす”。今どきのゴルファーならば、この言葉に聞き覚えがあると思うが、最新ドライバーのほぼすべてがこれを狙って開発されているといっていい。逆にいえば“初速が遅く、打ち出しが低く、スピンが多い弾道は飛ばない”ということであり、残念ながら、飛距離不足に悩む一般アマチュアの多くはそうなっているわけだ。
最新ドライバーやボールを使っているのに、飛距離が変わらないということは、何を使っても“初速が遅く、打ち出しが低く、スピンが多い”状態が是正されていないということ。メーカーがいっていることは、ウソだということになる。では、こちらの弾道図(図1)を見ていただこう。
これはヘッドスピードやボール初速が同じだった場合に、打ち出し角度とバックスピン量を変えたら弾道/飛距離はどう変わるのかを、シミュレーションしたものである。
飛距離を変えたいなら放物線のイメージを変える、これが鉄則。
ご覧の通り、打ち出しが高く、スピンが少なめの弾道になれば、同じクラブ、ボール(ボール初速が同じ)だった場合、最もキャリーを伸ばすことができる。打ち出しが低く、スピンが極端に少ないと、チーピンになってまったくキャリーは出せないのである。
これをなぜ改めて示したかといえば、初速は一定でも打ち出し角度とバックスピン量によって、これだけ放物線(弾道)が変わる、ということをいま一度確認したかったからである。試みに、放物線のスタート地点に自分が立ち、飛んでいくボールを見つめていることを想像していただきたい。一番遠くに飛ぶ弾道では、首が痛くなるほどボールが高く打ち上がっていることがイメージできるのではないだろうか。
試打会などで11度や12度のドライバーを勧められるケースも今や珍しくないが、これも打ち出しを上げることでキャリーを伸ばすことが可能だからである。今どきのゴルフボールはロフトを増やしてもスピンが大幅に増えることはないので、安心して大きなロフトを選んで飛ばしてください! ということだ。
しかし、ゴルファーはこれをよしとはしない。ロフトは従来の感覚通り9.5度や10.5度を選んでしまいがちだし、弾道もいつもと変わらぬ高さで飛んでいくことをよしとする。見慣れた数字、弾道ならば安心するのかもしれないが、ご覧の通り、放物線が変わらなければ飛距離は決して変わらないのである。
何を使っても飛距離が変わらないと嘆く人は、もしかしたら、何を使っても弾道イメージを変えない人なのではないかと思う。今どきのゴルフボールはロフトが大きいクラブを使っても、適正スピンで飛ぶようになっている。繰り返しになるが、だからこそ多ロフトドライバーを使ったほうが、遠くに飛ばせる可能性が高い。それがわかっているから米男子ツアーの飛ばし屋でも10.5度、11度を使うのだ。
クラブを替える前に、ゴルファー自身がロフト選択や弾道(放物線)のイメージを変えなければならないと痛切に思う。低くしか打てないドライバーよりも、きちんと上がる5Wのほうが飛ぶ、そういうものだし、そういう時代なのだ。
*2018年8月17日17時40分 文章を一部修正いたしました
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