レモンを絞るように、腕を回そう
ツイスト打法の要点は、「タメない」「手を返す」「ベタ足で振る」の3つ。
そして、そのためにはバックスウィングで「右折」(編注:ハンドルを右に切るときのような両腕の動き)して、切り返し直後にクラブをリリースしたら、ダウンスウィングでは「左折」(編注:ハンドルを左に切るときのような両腕の動き)する動きが必須なんだ。
「右折と左折」の動きを一瞬で理解できる魔法の動きを紹介しよう。それは、「生レモンサワーのレモンを絞る動き」。居酒屋さんで生レモンサワーを頼むと、半分に切ったレモンと一緒に、金属製のレモンを絞る器が出てくるよね。
あのレモンを最後の一滴まで絞ろうと思ったら、腕を真っすぐに伸ばして、右、左にギューッて回さない? あの動きこそ、まさしく右折と左折の腕の動き。もっと言えば、両手で同時にレモンを絞れば完璧だよ。
もちろん、レモンを時計回りに絞るのがバックスウィングの「右折」の動き。レモンを反時計回りに絞るのが、ダウンスウィングの「左折」の動きってわけ。
「右折の動き」が、シャフトをしならせる
実際にスウィングするときには、ゴルフ場にあるボールピッカーのような長い棒をイメージするといい。ボールピッカーってなにかって? アレですよ、アレ。池に落ちたボールを拾うための、棒の先に「お玉」みたいなのがくっついた形の器具のこと。知らないなんて言わせないよ、読者のみなさんもお世話になったこと、何度もあるでしょ(笑)。
ツイスト打法を修得するのになぜ関係ないボールピッカーをイメージするのか。それは、ボールピッカーの構造自体に秘密が隠されているんだ。あれって、普段はカートに収まるように短くなっているけど、いざ池に落ちたボールを拾うときには、伸縮構造っていうのかな、グーンと伸ばして使うよね。あの構造が素晴らしいんだ。
実際にボールピッカーを持ってアドレスし、右折の動きでバックスウィングをすると、先端がシューッと伸びるんだ。右折の動きをすると、先端に思い切り遠心力が働き(そのとき『できるだけ速く』バックスウィングすることもお忘れなく)、短い状態ではいられなくなるわけ。
反対に、フェースが開かないように、飛球線に対して真っすぐ上げる動き、つまりシャットに上げる「左折」の動きでバックスウィングをすると、先端が伸びることはまずありえない。
これがどういうことかっていうと、右折の動きのほうがヘッド側にエネルギーが集まるってこと。ヘッド側にエネルギーが集まるってことは、ヘッド側が「重くなる」ってことだよね? ヘッド側が重くなることで、結果としてはトップの位置でシャフトに負荷がかかって「しなり」が生まれるわけなんだ。
いまさら僕が言うまでもないけど、飛ばしにはシャフトのしなりを使い切ることが絶対条件。これが、バックスウィングで右折の動きが必須なもうひとつの理由なんだわ。
バックスウィングではレモンを絞るように「右折」の動きをし、シャフトがびよーんと伸びるようなイメージを持ってみて。「西遊記」に出てくる、如意棒みたいなイメージで。
とにかく、最近ヘッドが大型化してきたこともあって、「シャットに上げろ」なんて意識でバックスウィングを上げている人が多いけど、大間違いだよ。せっかくゴルフクラブがフェースを開いたり閉じたりしやすいようにデザインされてるのに、シャットに上げたらフェースターンなんてひとつも起こらない。
1発2発OB打ったって殺されたりはしないから、思い切ってガバッとフェースを開きながら上げてみて!
「オレって、こんなに飛んだっけ?」(ゴルフダイジェスト新書)より ※一部改変