プレーオフシリーズ2連勝を遂げたブライソン・デシャンボー。元ゴルフ誌編集長が、デシャンボーの「科学者」的な側面を掘り下げる。

フェデックスカップ プレーオフ2連勝の秘密

フェデックスカップ プレーオフ第1戦の「ノーザントラスト」に続き、第2戦の「デル・テクノロジーズ選手権」で2連勝を果たしたブライソン・デシャンボー。たった2週間で約3億5000万円の賞金を荒稼ぎし、9月下旬に迫るライダーカップにはキャプテン推薦で初のメンバー入り当確。おまけに幼少時代からのアイドル、タイガー・ウッズとコンビを組んでライダーカップで戦えるという話も飛び出しており、全てが順風満帆。現在、「世界で最もツイてる最強男」である。

さて、デシャンボーといえば、3番アイアンからウェッジまで、すべてのアイアンを37.5インチ(6番アイアンの長さ)で揃え、すべてのクラブをノーコック打法でヒットすることで知られているが、これらは『ゴルフィングマシーン』という本に書かれていた理論にインスパイヤーされたものだ。

画像: ワンレングス(長さが同じ)アイアンを使用していることでも有名なブライソン・デシャンボー(写真は2018年の全米オープン)

ワンレングス(長さが同じ)アイアンを使用していることでも有名なブライソン・デシャンボー(写真は2018年の全米オープン)

彼にとって大事なのは、いかに合理的でシンプルな方法でゴルフができるか、ミスを軽減し、再現性の高いスウィングができるか、ということ。大学で物理学を専攻し、ゴルフを常に科学的に分析しながらスウィングを作り上げてきた選手ならではの思考回路だ。

実際、彼の話を聞いていると、他のプロゴルファーなら、まずこんなことは言わないだろう、というような話が出てきて、理解しづらいこともある。まるで科学者たちが話す言語を使いながら、スウィングやクラブについて奥の深い話を語ってくれるのだ。

だが時には彼の、時代の最先端を行くような思考や行動が、一般人には何やら怪しげに映ることもあり、過去、彼の考案に基づいて作られたサイドサドルパターの使用が禁止されたり、つい2カ月前にはラウンド中に「よりホールロケーションを正確に知るため」に使用していたコンパスをルール違反に当たると禁止されたこともあった。

仮に他のプロにコンパスを与えたところで、実際どう使えばいいのかわからないのではないかと思うが、デシャンボーは頭がいい人ゆえに「何か一般人が思いもつかない使い方をして、大きな利益を得ているに違いない」と勘ぐられてしまう。彼のゴルフはルール違反と背中合わせのギリギリのところで、自分のベストな1打を生み出すための準備を重ね、その手段を日々研究しているのだと思う。

そんな彼がルール違反とは無縁の、次なる秘策を引っさげて2連勝を成し遂げた。「脳のトレーニング」だ。彼は「デル・テクノロジーズ選手権」の前に、呼吸法による脳のトレーニングを行なったそうで、それにより必要に応じて交感神経と副交感神経の使い分けができるようになり、ゴルフにも奏功したという。

「心拍数が上がっている時は、いいショットができない。そんな時には呼吸法で心拍数を下げることで、ショットもコントロールできる」

科学だけでなく、人間の神経までコントロールしてベストショットを追求する領域に入ってきたデシャンボー。彼の打法や考え方が、まだ一般に普及しているわけではないが、今後の彼の成績次第では世界のゴルフに対する考え方、スウィング理論がガラッと大きく変わる可能性もある。

撮影/岡沢裕行

GOLF5

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