欧州チームのトーマス・ビヨーンキャプテンが9月6日に発表したワイルドカード=キャプテン推薦ではガルシア、イアン・ポールター、ヘンリック・スタンソン、ポール・ケイシーの名前が告げられた。
事前の予想では今季すべてのメジャーで予選落ちを喫し米ツアーのプレーオフシリーズ進出を逃したガルシアはワイルドカードの圏外だと思われていた。ところがビヨーン主将は「気分が悪くなるほど熟考した結果」ガルシアの名前を絞り出した。
「彼はチームの“鼓動(ハートビート)”なのです。一度でも一緒にチーム戦を戦った選手は彼がいかに他のプレーヤーを押し上げる力を持っているかわかるはず。その影響力はコース内にとどまらずコースの外でも効果を発揮します」
ビヨーンは続ける。「たとえば土曜日のマッチを終えた時点でこっちのチームが大量リードしているとしてそんなとき『まだ試合は終わっていないぞ』と浮かれたムード払拭できるのはガルシアなんです。彼の存在がチームを引き上げてくれる」。特にライダーカップルーキーが5人いる若いチームに彼の存在感と信頼感は欠かせないという。
それはまるで母国のヒーロー、セベ・バレステロスのよう。米チームの連勝が続き存続の危機にあったライダーカップを熱き情熱で盛り上げたセベの影響で85年以降対戦成績は一気に逆転。スター軍団の米チームを向こうに回し欧州が11勝5敗で優勢を保っている。
ちなみにガルシアは99年から8大会に出場し19勝11敗7分けとタイガーの通算成績(13勝17敗3分)及び勝率を大きく上回っている。
本人は「自分はいつだって間抜けでとんまなガルシアさ」と笑うが、ちょぴり抜けているところが周りの人に安心感と親しみを与えるのかもしれない。
米チームは93年以来25年間アウェイでの勝利がない。勝っても負けても賞金はゼロ。それなのに大の男が歓喜し涙する特別な戦いまであと2週間ちょっとだ。
撮影/姉崎正