5年連続最終出場はジェイソン・デイ、パトリック・リード、そして松山だけ
みんなのゴルフダイジェスト編集部(以下、編集部):いよいよプレーオフ最終戦「ツアー選手権」が開催されます。この結果で年間王者が決まり、優勝賞金と年間王者に与えられるボーナスを合わせると約11億円が動く試合となりますが……。
レックス倉本(以下、倉本):ツアー選手権の翌週に開催される米対欧州の対抗戦「ライダーカップ」は打って変わって賞金がない試合ですが、選手たちの関心を集めていますよね。ツアー選手権にもライダーカップにも言えるのは、出場できること自体に選手が喜びを感じる試合ということです。
ツアー選手権であれば一年間の成績を通じて選ばれた上位30人が出場できる、シーズンの総括となる試合ですし、ライダーカップは二年間のフェデックスカップ・ポイントの積み重ねを参照して代表に選ばれ、国を背負って戦うことになります。実力を認められ、選ばれるべくして選ばれる。どちらも特別な感情が生まれる舞台ですよね。
編集部:ライダーカップには米国か欧州の選手しか出られませんが、ツアー選手権の舞台には松山英樹が出場します。ツアー選手権に5年連続で出場できているのはジェイソン・デイ、パトリック・リード、松山の3名のみ。これについてはどう思われますか?
倉本:シーズン終盤から、プレーオフ最終戦に出場することを第一目標に定めていたんでしょうね。6試合連戦のタイトなスケジュールを組んだのもそのためでしょう。メジャー制覇という目標が松山自身にもあったと思いますが、調子が上がらない中でうまく目標の切り替えができたということもあるかもしれませんね。
編集部:ずばり、松山が優勝する可能性はあると思いますか?
倉本:もちろん、上位30人に選ばれて出場するわけですから、最低限でも30分の1の可能性はありますよね。ただ冷静になって考えると、プレーオフ3戦目と最終戦の間に1週間の休みがあるとしても、ここに至るまでの連戦や体調面、1年通しての試合内容を考慮すると、勝てる可能性が高いとは言えません。
しかし直近2試合の成績をふまえて考えると、トップ10ぐらいには入れそうな内容のゴルフですし、手応えはあるんじゃないですかね。
編集部:土壇場になってから強さを発揮していて「やっぱり強いな」と感じさせられますね。
倉本:ですよね。ただ、基本的にトップ10、15位くらいに入るゴルフっていうのは、松山が捨て身になって先々のことを考えず、目の前の試合だけを戦うっていう気持ちでやっていたら、いつでもそれくらいの順位に入れる実力があると思うんですよ。
ただ彼は目の前の試合だけではなく先々のこと、シーズン全体の流れや、もっと言えば自分のゴルフ人生の目標に対して、っていうのを常に念頭に置きながら戦っています。今ここで成績を残す、という戦い方とは違うんですよ。
この2試合は(最終戦に駒を進めるために)目の前の結果を考えて戦ったと思うんですよね。だから来週、その(最終戦に出るという)目標を達成したあとにどういった戦いをするか、ですよね。先々の試合のことを考えた戦い方に戻すかもしれないし、まったくわからないです。
いろいろな目標設定の仕方がありますが、シーズンや自身のキャリア全体を見越した大きな目標に向かって戦いながらでも、優勝争いに加わることができるくらいに中身のあるゴルフがしたい、というのが松山の第一目標じゃないんですかね。