現在、松山が使用するドライバーは、キャロウェイの「XR スピード」というモデル。欧州モデルということで、日本では未発売で、米国市場でも取り扱いがない。ソールのデザインは、昨年発売されたフェアウェイウッド、「スチールヘッド XR」に似ている。
松山が使用して好成績をあげてきたドライバー、「グレートビッグバーサ」は2015年のモデルだ。昨年9月にそのエースドライバーがヘッド割れし、そのスペアヘッドも今年の全米オープン開幕の前日に割れた。将来的にスペアヘッドの確保が難しくなることは確実で、松山にとって、新しいドライバーヘッド探しは喫緊の課題だったと言えるだろう。
5月にはひと回り小ぶりなテーラーメイド「M3 440」を使用した。締まった顔で振りやすそうな形状は松山に合いそうだったが、なかなか結果が安定せず、全米オープンからは、ピンの「G400 LST」を使用した。ヘッド体積は445ccと振りやすさも考慮したサイズだが、慣性モーメントが大きく、曲がり幅が小さいと松山もコメントしていたものの、「M3 460」と併用するなど、エースと呼ぶにはやや信頼感にかけていたようだ。
「XR スピード」は、いわゆるアスリートを対象としたプロモデルというわけではなく、アベレージ層も意識したモデルだ。このあたりは、スライサーにもやさしい「グレートビッグバーサ」を選んだ松山らしい。特筆されるのは、メーカーがフラッグシップモデルと位置づける高額なラインナップではなく、どちらかと言うと購入しやすい価格帯のモデルであることだ。欧州での販売はオープンプライスだが、299ユーロ以下(※日本円で3万9千円前後)になることが多い。
安価なモデルのためか、「グレートビッグバーサ」のような可変ウェイトはないが、カーボンクラウンは採用されている。形状は丸っこく、ややボテッとしていて、いわば“ぽっちゃり系”だ。「G400 LST」や「M3 440」はもとより、長く愛用した「グレートビッグバーサ」ともあまり似ていない。ハードヒッターの松山だけに、ハードでシャープな形状を求めていると思いがちだが、意外とドライバーにやさしさを求めているのかもしれない。
松山が愛用する理由としてもう一つ考えられそうなのが、カーボンクラウンの打音だ。「XR スピード」は、いかにも飛びそうな金属音や弾き感を残しつつ、フルチタンに比べて、打音が抑えられ低めになるカーボンクラウンらしい感触がある。
二年前に松山が「グレートビッグバーサ」を使用した際は、すでに古いモデルだったため、中古品の値段が高騰するという現象が起きた。昨年、ブリヂストン招待で優勝した際に使用した、テーラーメイド「TPコレクション ミューレン」パターは、ショップ店頭から一瞬で姿を消し、その週の販売数で1位になった。松山の使用するクラブは売れる、というジンクスができつつある。
現在、入手が難しい「XRスピード」だが、松山の活躍がさらに続くようなら、日本国内でも限定販売するような異例の展開もあるかもしれない。
※一部訂正致しました(2018.09.20 12:45)