ツアー選手権が開幕したが、その開幕前の段階でのフェデックスカップポイント上位5名のスタッツから、その5人(ブライソン・デシャンボー、ジャスティン・ローズ、トニー・フィナウ、ダスティン・ジョンソン、ジャスティン・トーマス)に強く見られる共通点を分析した。
近代ゴルフの強者の条件とは、飛距離がまずあること。そして、飛距離を生かしてパー5、パー4でバーディが取れること。とくにパー5のバーディ率がもっとも重要という結果だった。
それを踏まえて、日本のエース・松山英樹選手のスタッツを分析してみる。5年連続最終戦に進んでいる松山選手。世界トップレベルの安定感だ。データ的に近代ゴルフのもっともベースとなる飛距離は、松山選手は2018年シーズンにおいて302ヤードとポイントランクトップ5の最低水準に1ヤード届いていないが、ポイントランクトップ10の水準だ。
パー4のバーディ率は悪くなく、これもトップ10水準。もっともランキングに相関するパー5バーディ率は44.34%とツアー平均43.73%を上回っているものの、トップ5の54.29%とは差がある。弱点と言われがちなパッティングに関しては、そもそも松山選手のパッティングの数値は自己最高の世界ランキングを記録していたときも174位で、今年は58位とむしろ大幅に向上している。
そして、そのときのパー5バーディ率は56.91%でツアー1位。今年の水準に当てはめてもトップ5の誰よりも優れている。つまり松山選手に“今”欠けている部分はパー5バーディ率だけとも言える。
では、その数値を戻すためのポイントはどこにあるのか。データを深掘りしてみたらひとつの仮説が立つことがわかった。225~275ヤードのショットの精度が、去年と比べて大幅に落ちている。実に約4.8メートルも平均して寄らなくなっている(ばらけている)のだ。
つまりそれはロングアイアンとフェアウェイウッドの精度が落ちているということだ。他の数値は遜色ないので、やることは明確である。上記のショットの精度を徹底的に調整すれば、松山選手の優勝は大いに期待できる。