2013年は2位タイ。2014年は6位タイ。2015年はプレーオフの末2位タイ。2016年は10位タイ、2017年8位。そして2018年は3位。菊地絵理香の日本女子オープンでの戦績は見事なものだ。ツアーの中でも屈指の難易度を誇る日本女子オープンでのこの成績は、偶然ではないだろう。
「ハイスコアになるセッティングは得意ではありません。その代わり、ラフが深く我慢比べのような戦いが私に向いてる」と3日目を終えたあとの菊地のコメントにあるように、今回の日本女子オープンのセッティングもタフだった。
なぜ菊地は日本女子オープンに強いのか。プロゴルファー・中村修はこう分析する。
「菊地選手のパーセーブ率は86.6867%で全体の5位。それを支えているのが、67.8679%で2位のリカバリー率(パーオンを逃した場合にパーかそれよりいいスコアで上がる確率)。もともと、アプローチが非常に上手い菊地選手ですが、日本女子オープンでの好成績には、この試合に臨む“心構え”の部分も大きいと思います」
日本女子オープンは、セッティングが他の試合に比べてタフだ。そのため、今回の優勝者、ユ・ソヨンは4日間でボギーがわずかに2つ。最終日もボギーフリーのラウンドだった。3打差の2位だった畑岡奈紗、そして5打差3位の菊地のボギーの数は6つ。スコアの差がほぼボギーの数の差とイコールで結ばれる、そんな試合だったことがわかる。
通常の試合がバーディの奪い合いならば、日本女子オープンで勝つためには「いかにボギーの数を少なくできるか」という戦略が求められる。トップ3に入った3人は、4日間を通じてボギーより悪いスコアを一回も打っていない。
「勝てないということは、まだ課題がたくさんあるということですし、足りなかった部分が、ほんとうに勝てなかった原因だと思うので、もっともっと技術を上げて、練習するだけかなと思います」
最終日を終えてこうコメントした菊地。このコメントから、今後も菊地が日本女子オープンで活躍する可能性は非常に高いと中村は言う。
「菊地選手にとって、日本女子オープンは自分の現在地を見定め、課題を見つけられる場所なのではないでしょうか。そして、シーズンを通じてスキルを上げ、またこの大会に挑む。そしてまた新たな課題を見つけて取り組むことを繰り返す。もちろん本人は勝利だけを願っていると思いますが、この試合に挑むこと自体が、彼女のスキルアップにつながっているように見えます」(中村)
ドライバーショットの安定感、100ヤード以内の精度……ショットに関して、優勝した世界ランク4位のユとの差をこう分析した菊地。ここを徹底的に改善して、残りシーズン、そして来シーズンに挑んでいくはずだ。
今季はタイを含めて2位が3回、3位が2回と2015年から続く毎年の1勝も今季はまだ未達成だが、最終戦まで残り8試合のうちのどこかで優勝カップを掲げ、さらに強くなって2019年の日本女子オープンに臨む菊地の姿が見たいものだ。
写真/岡沢裕行
※一部訂正致しました(2018.10.01 17:07)