ピンチでも冷静さを失わなかった
「やっと4日間が終わりました」
大会前から取りたいと言っていた日本女子オープンのタイトルを獲得し、安堵の表情を見せた。
「昨日の5アンダーはいいラウンドでした。それで最終組に入れたのが大きかったです」と初日イーブンパーで出遅れたながらも、3日目にスコアを伸ばし、最終日はトップタイの8アンダーで山下と同組でスタートした。
前半は3番でバーディを奪った竹田に対して、山下が5番で1打リード。前の組でも岩井明愛や申ジエらがスコアを伸ばし優勝争いは混戦となった。
竹田は、3番以降バーディを奪えず、苦しいラウンドが続くなか、9番パー4では2打目がガードバンカーで目玉になり大ピンチ。そんな状況でも焦ることなくボギーで切り抜けた。
小技も冴えわたった
後半に入り、12番パー4ではグリーンの外から難しいアプローチも、ロブショットでパーセーブ。13番パー5では3打目を深いラフから寄せてバーディを奪った。
ドライビングディスタンス3位の飛ばし屋はショートゲームでも技術の高さを見せた。
「(深いラフから)思ったより飛ばないのでフェースを開いて思い気って振り切る。今週はそれが上手くいきました」とピンチをチャンスに変えていった。
飛ばし屋のフェードヒッターが有利と言われた大会で、パワーフェードの竹田は自慢のドライバーショットと小技の合わせ技で、追いすがる山下や岩井を振り切った。
優勝は静かなリアクション
最後まで集中力を切らせることはなかった。
ひとつ前の組でプレーする2位の岩井明愛に1打リードして迎えた最終18番ホール。竹田はティーショット直前にアドレスを解いた。
「電話で話している方がいたので……。12番でそのまま打ってミスしてしまったので、ここは仕切り直そうと思いました。それが良かったです」
そのティーショットはフェアウェイセンターをとらえ、セカンド地点からひとつ前の組の岩井のプレーを見守った。
4つのバーディを奪い1打差に追い上げていた岩井がパーパットを外し、ボギーとしたことでリードは2打差に広がったことを確認。今季6勝を挙げて優勝経験を積んだ竹田は、状況を冷静に把握して、「パーでいい」とパーオンに成功した。
同組で優勝を争った2年連続年間女王の山下の最終パットを見届けて、短いウィニングパットを沈めた。
"いつものように"ガッツポーズなどの喜びを表現する大きなリアクションはなかったが、「自然な感じで……。次はやります」と会見上ではハニカムような笑顔を見せた。
8勝目は竹田の新たな喜びの表現が見られそうだ。
5年シードを獲得し、米ツアー挑戦を示唆した竹田
日本女子プロ選手権に次ぐメジャー大会連勝。同一年のメジャー大会2勝で5年シードを獲得した竹田。
「実感はありませんが、連勝できると思っていなくてびっくりです」
これまでは海外挑戦はまだ先と考えていたようだが、優勝会見でその方向性に変化を見せた。
「5年シードでアメリカに行きたい気持ちが強くなりました」
大リーグの大谷翔平選手の活躍にも刺激を受けたようで「(大谷選手は)アメリカで活躍して、見ている人たちを楽しませている。アメリカで活躍されている格好いい姿を見て私も頑張りたいと思います」と米ツアー予選会の登録締切まで「考えたい」と話した。
今大会の優勝でメルセデスランキングで2位の山下を大きくリードした竹田。また今季7勝目となり、2003年の不動裕理が記録した年間10勝も見えてきた。今季は残り8戦、現役最強の竹田麗央の今後に目が離せない。
JLPGAの年間勝利数
1位 不動裕理 10勝(2003年)
2位 涂阿玉 9勝(1982年、1983年、1986年)
稲見萌寧 9勝(2020-21年※)
4位 樋口久子 8勝(1974年)
岡本綾子 8勝(1981年)
6位 イ・ボミ 7勝(2015年)
鈴木愛 7勝(2019年)
竹田麗央 7勝(2024年)
※2020年、2021年はコロナ禍の特例で同一シーズン