2018年10月2日、本間ゴルフの新製品発表会が都内で開催された。発表されたのは同社のフラッグシップモデルとなる「TOUR WORLD TW747」。ドライバーからウェッジまでがラインアップされる中、注目はやはり「455」「460」の2モデルがラインアップされたドライバー。その特徴のひとつが、2018年の国産プロモデルの多くが採用したカーボンクラウンだ。なぜ、国産ドライバーの多くがカーボンクラウン化しているのか、考えた。

低重心化・深重心化が図れる。音も悪くなくなった

プロギア の「RS-F」。ブリヂストンの「ツアーB XD-3」。ダンロップの「スリクソン Z585」「スリクソン Z785」 。そして発表を迎えたばかりの455と460の「TW747」。これらのモデルにはある共通点がある。どれも国内メーカーのプロモデルドライバーであることがひとつ。そしてもうひとつがカーボンクラウンを採用しているという点だ。

画像: TW747の発表会でもカーボンクラウンの採用はトピックスとして紹介されていた

TW747の発表会でもカーボンクラウンの採用はトピックスとして紹介されていた

本間ゴルフの開発本部長・諏訪博士に、カーボンクラウンを採用した理由を聞いた。

「カーボンクラウンにすることで、その分の重量を他に配分することができます。それによって大型化だったり、高慣性モーメント化(ヘッド挙動の安定化)が図れるんです。(カーボンクラウンを各社が採用している)業界の流れ、トレンドについて行って、そのさらに先に行くものを作ろうということです」(諏訪)

今回本間ゴルフは、東レが開発した新素材をいち早くクラウンに採用することで、12グラムもの余剰重量を獲得したという。

画像: TW747 455。ヘッド内部の後方ヒール寄りが肉厚になっている分、低・深重心化しているのがわかる。カーボンクラウンの恩恵だ

TW747 455。ヘッド内部の後方ヒール寄りが肉厚になっている分、低・深重心化しているのがわかる。カーボンクラウンの恩恵だ

たとえば「455」でいえば、それをヘッドのソール後方ヒール寄りに配することで非常にシャープな形状でありながら、重心が低く(スピンが少なくなりやすい)、深い(ボールが上げやすく、ミスヒットに強い)という、以前は極端に後方に長いなど、異形のヘッド形状でないと実現できなかったような機能を搭載できたのだという。

いいことずくめに思えるカーボンクラウンだが、それが採用されてこなかったのには理由がある。音の問題だ。「カーボンクラウンは音が悪い=売れない」という通説がクラブ業界にはあった。しかし、カーボンクラウンを採用したテーラーメイドの「M2」「M3」「M4」は3代続けてヒット。キャロウェイの「GBBエピック」は2017年を代表するモデルとなり、後継機的位置付けの「ローグ」も好調。これら海外メーカーのクラブのヒットも、当然ながら影響しているはずだ。

画像: カーボンは音が悪いというのは過去の話。素材・製法の進化によって音(打感)の問題もクリアされた

カーボンは音が悪いというのは過去の話。素材・製法の進化によって音(打感)の問題もクリアされた

面白かったのは、TW747では3番ウッドにもカーボンクラウンを採用しながら、5番、7番ウッドには採用していない点。前出の諏訪は、その理由を「(5番、7番にカーボンは)必要がないんです」と説明。グリーンに“止める”という機能を持たせたい5番、7番ウッドは従来通り。今やドライバー並に飛距離が求められ、「いかに止めるか」を考える必要がない3番ウッドにはカーボンクラウン。つまりそれだけカーボンクラウンは飛ばしに有利ということだ。

画像: 発表会に登場した永井花奈。デモンストレーションではトラックマン計測でヘッドスピード40.7m/s、飛距離249.6ヤードという凄まじい数字を叩き出していた

発表会に登場した永井花奈。デモンストレーションではトラックマン計測でヘッドスピード40.7m/s、飛距離249.6ヤードという凄まじい数字を叩き出していた

PGAツアーでは、肉体を鍛え上げた選手たちが、低重心・深重心・高慣性モーメントの「曲がらないドライバー」を手に、350ヤード級の飛距離を当たり前のように放つ時代にすでに突入している。従来、国産ドライバーといえば小ぶりで操作性がいいのが特徴だったが、世界のトレンドは従来の日本のプロモデルのあり方とは違ってしまっている。カーボンクラウンの相次ぐ採用は、そのゴルフ界の大きな流れの中に位置付けるべきだろう。

本間ゴルフの「TW747」の登場によってさらにピースが埋められた感のある国産ドライバーのカーボンクラウン化。その中で覇権を奪うのはどれか、注目だ。

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